乗り心地と操縦性はクラス最上位 ホンダZR-Vへ英国試乗 シビックのクロスオーバー版

公開 : 2023.07.06 08:25

ホンダ・シビック譲りのハイブリッドを搭載した新型クロスオーバー、ZR-V。英国編集部がその仕上がりを評価しました。

メカニズムの多くをシビックと共有

A、B、Cで始まって、Zで終わる。読者も一度は、アルファベットの歌を口ずさんだ経験をお持ちだろう。しかしホンダは、順番にとらわれなかった。現在HR-V(ヴェゼル)とCR-Vをラインナップするが、その間に収まるクロスオーバーとしてZR-Vが登場した。

現行のCR-Vは、2023年後半にひと回り大きいサイズへ世代交代する予定。フォルクスワーゲントゥアレグヒョンデ・サンタフェと比較されるSUVへ成長する。結果としてHR-Vとの間にギャップが生まれ、新たに1車種追加されることになった。

ホンダZR-V e:HEV アドバンス(欧州仕様)
ホンダZR-V e:HEV アドバンス(欧州仕様)

車名をZR-Vとしたことを、ホンダは明確に説明していない。Z世代への訴求力を高めようと考えたのかもしれないが、恐らく違う。アメリカでは、HR-Vという名で売られているためだ。

それはさておき、ZR-Vの全長は4570mm、全幅は1840mm、全高は1620mmあり、ざっくりいえば、ホンダ・シビックのクロスオーバー仕様だと考えても問題ないと思う。ちなみにシビックの3サイズは4551mm、1802mm、1408mmとなる。

メカニズムもシビックと多くを共有しており、同様のハイブリット・パワートレインを搭載している。2.0L 4気筒ガソリンエンジンは143psを発揮し、通常は発電機を回して183psの駆動用モーターや1.05kWhの駆動用バッテリーへ電力を供給する。

好印象なインテリアもシビックとほぼ同じ

普通に市街地を運転している限り、内燃エンジンが直接タイヤを回転させることはない。高速道路へ足を伸ばすとeCVTのクラッチが繋がり、ギアを介して前輪を駆動するようになる。

タイヤと直接結ばれていない4気筒エンジンは、ソフトウエアが必要に応じて仕事をさせる。軽負荷時には回転を止めるし、駆動用バッテリーを充電するため、一定の回転数で動いている時もある。この制御は、新しいシビックと変わらない。

ホンダZR-V e:HEV アドバンス(欧州仕様)
ホンダZR-V e:HEV アドバンス(欧州仕様)

インテリアも、シビックとほぼ同じ。エアコンの送風口が水平に伸びるダッシュボードも、実際に押せるボタンが並んだエアコンの操作パネルも、見慣れたもので好印象だ。

ダッシュボード上部には、9.0インチのタッチモニターが据えられている。表示はさほど鮮明ではないが、ショートカットキーが用意され、スマートフォンとワイヤレスで同期できるため、使い勝手は褒められる。

内装の素材は、ソフトタッチ加工された領域が増えるなど、シビックより若干アップグレードされている。センターコンソールの収納も大きい。ZR-Vには、リンケージが必要になるマニュアル車が用意されないためだ。

ドライビングポジションも、不思議なことにシビックとほぼ同じ。ハッチバックでは低めの目線で足を伸ばす格好がしっくり来るものの、クロスオーバーには高めの目線を期待するユーザーも多いはず。

後席側の空間は上下左右に広々としており、大人もゆったり座れる。エアコンの送風口とUSBポートが用意され、長距離でも快適に過ごせるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事