プジョーRCZ R

公開 : 2014.03.26 19:46  更新 : 2017.05.29 19:00

それほど遠くない昔、FWDは200馬力が限界と言われていた。1990年代に入ってサスペンションやタイヤなどシャシー周りの技術レベルが向上し、その壁を突破するFWD車が続々と登場してきたが、それが200馬力後半という話になると、4WD化というソリューションを併用するのが当たり前だった。インテグラRとランエボ/インプとの関係がその好例だった。

ところが、そういう分別臭い話を蹴飛ばすクルマが現れてきた。フォルクスワーゲンはシロッコRの256psをFWDのままで走らせ、ルノーはメガーヌRSで265psを制圧した。

これに呼応したのがプジョーである。彼らのCセグメントにはRCZというヒット作があり、これに従来は200ps仕様の直4ターボを載せていたが、それを270psに増力し、サフィックスRを付け加えたモデルを送り出した。それがRCZ Rであり、日本では限定150台の販売になるという。

RCZというクルマは、まずまず好感を持てる仕上がりだった。A/T仕様150ps版は、PSAお約束の右ハンドル仕立ての雑に加えてアシも緩く、ヌルい仕上がりだったが、M/T仕様200ps版は左ハンドルで、アシの締まりもよかった。ホンダのタイプRのような旋回上等ではなく、欧州車流儀のGT方向のシャシーではあったが、それなりにルックスと加速と高速安定を楽しめた。

だが、今回のRは270psである。シロッコのようにリヤサスペンションがダブルウイッシュボーンではなく、トレーリングアーム中間連結型トーションビームという簡素な形式のままである。果たして大丈夫なのか──。

結論を導き出す前に、まずは270psユニットの話からしてみよう。その直4はBMWとプジョーが共同開発したED6系である。200ps仕様では10.0で使っていた圧縮比を9.2に下げてブーストアップという処方。そこから容易に想像できるとおり、このエンジンにはお利口な小排気量ターボでは僅かに抑え込まれていた過給遅れがある。2500rpmあたりで明確なインターセプトポイントが見取れるのだ。しかも電子制御スロットルはアクセル開度スピードが上がったときだけ早開きする設定で、普通のアクセルワークでラグを懸命に誤魔化すようにはなっていないから、それが容易に察せられてしまう。

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