ベントレー・コンティネンタルGT3-R

公開 : 2014.10.22 23:50  更新 : 2017.05.29 19:03

ドアを開ければ、艶やかなカーボンファイバーを基調にしたテーマは、インパネ、ストレージ、シート背面などのキャビンにも見て取れる。特にドア周辺にふんだんにあしらわれたカーボンは触るたびにうっとりとしてしまう。

なめらかなアルカンターラとの組み合わせを見れば、高級感の打ち出し方はベントレーより右に出るメーカーはないといっても過言ではない。

ただし平均的なハッチバックよりもドアはズッシリとしている。二重の窓ガラスも健在だ。

エンジンを掛ければ、チタン・エグゾーストからバリバリと響く唸り声が、他モデルと明確に異なることをアピールする。この音を聞けば、かなり硬派な乗り心地を想像しなくもないが、実際に走り出せば何のその。確かに足元は締め上げられてはいるけれど、幻滅させられるほどではない。

エアサスペンションはV8 Sのそれに比べるとスポーティーなのは間違いないが、根本的には同じであると見なしていい。ボディの動きは路面と密接に関わりあっていると強く感じ、21インチの鍛造ホイールのおかげでノーマルよりもシャープな乗り味にはなっているものの、ボディを揺らしたり、不快に感じさせることは全くない。どちらかというとジャガーF-タイプRの方が突き上げは顕著だ。

リラックスして長い距離を走る際にも、連続する急なコーナーを走る際にも、どちらも満足できる絶妙な仕立てと言っていい。

煩瑣なドライブ・モード・セレターはなく(褒め称えるべきだ)、慣れ親しんだ ’D’ と ’S’、あとはパドルによるマニュアル操作のみ。’D’ で走る限りは、 低中回転域をキープしながら、街乗りでも気にすることのない控えめな音量で走らせることができる。

’S’ にレバーをセットするとパワートレインは生き生きとし始め、できる限りギアをホールドしようとしてくれる。エグゾースト・ノートは激しさを増し、花火のような破裂音が辺りにこだまし始める。

だからと言って突如として手に負えなくなるなどと言うことはなく、常に落ち着きを失わないのは流石である。素早いレスポンスと適切なギア選択のおかげで、こちらがあれこれとする必要はない。

それなりの速度に達した際は、ポルシェ911ターボよりも、心に訴えかけてくる魅力がある。マクラーレン650Sよりも個性があると表現してもいいだろう。これに加えて豪奢であることと、凝ったルックスを持っているのだから、オーナーになれば心から満足できるはずだ。

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