生産終了が来年に迫る でもシッカリ小改良 ジャガーXF スポーツブレークへ試乗 訴求力強化

公開 : 2023.11.03 19:05

滑らかでたくましい2.0Lディーゼル 燃費も良好

ピヴィ・プロと呼ばれるインフォテインメント・システムも、反応が素早く扱いやすい。表示エリアの隅にショートカットボタンが並び、頻繁に利用する機能をホーム画面へ登録できる。ワイヤレスでスマートフォンとミラーリングも可能だ。

フロントシートの座り心地は素晴らしい。身長の高いドライバーの場合、ステアリングコラムの調整域が、僅かに足りないかもしれない。天井も若干低く感じられる。それでも、3シリーズやCクラスと比べれば不満は出ないはず。

ジャガーXF スポーツブレーク D200 Rダイナミック HSE ブラック(英国仕様)
ジャガーXF スポーツブレーク D200 Rダイナミック HSE ブラック(英国仕様)

荷室容量は、トノカバー下で550Lと広々。マイルド・ハイブリッドの場合、電圧48Vの駆動用バッテリーとインバーターが載る都合で、床下の収納空間が削られてしまう。

2.0Lディーゼルエンジンは、アクセルペダルを一気に傾けると電気モーターとの協調に悩むのか、ギクシャクすることがある。しかし、日常的なペースで操っている限り、スムーズでたくましい。

中回転域でのトルクが太く、このクラスとしては燃費も良好。マイルド・ハイブリッドの恩恵もあり、普段使いで18.0km/L近くまで伸ばせる。アクティブ・ノイズキャンセリング機能が実装され、走行中の車内は従来以上に静かでもある。

惜しいのが、8速AT。変速をためらうような仕草が稀にあり、低速域では滑らかさに欠く場合も見受けられた。ステアリングホイール奥のシフトパドルを弾くと、そんな弱点は気にならなくなるが、全体的に磨き込まれた印象を霞ませる側面ではある。

連続するカーブを堪能できる優れた操縦性

XFはクラス最高の操縦性を備えると、登場当時からAUTOCARでは高く評価してきた。それは、今でも変わらない。ドライバーズ・サルーンやステーションワゴンをお探しなら、XFは有力な選択肢になるはず。

オススメしたいグレードは、試乗車と同じRダイナミック HSE ブラック。そこに、ひと回り小さい19インチ・アルミホイールとアダプティブダンパーを追加すれば、理想的なXFが完成する。

ジャガーXF スポーツブレーク D200 Rダイナミック HSE ブラック(英国仕様)
ジャガーXF スポーツブレーク D200 Rダイナミック HSE ブラック(英国仕様)

試乗したD200 スポーツブレークには、20インチ・アルミホイールに通常のパッシブダンパーが組まれており、乗り心地は若干落ち着きが足りなかった。

とはいえ、ステアリングホイールには適度な重み付けがあり、感触も明瞭。後輪駆動の好ましい操縦性を味わえるという、魅力が備わる。姿勢制御は、引き締まりつつしなやか。ひと回り小さいモデルかのように、連続するカーブを存分に堪能できる。

特にステアリングは正確で直感的。必要以上にダイレクトというわけではなく、不自然に戻されるような印象もない。一体感を伴って狙ったラインを辿れ、グリップ状態も感じ取れ、ドライバーへ自信を抱かせる。

太いトルクで、低速コーナーではアクセルペダルの加減でフロントノーズの向きを整えられる。安全性を保つ電子制御システムは、必要に応じて機能を制限することも可能で、運転の楽しさを邪魔するものではないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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