新型Nボックス 進化を1番感じるのは高速道路か ターボ/NAで検証

公開 : 2023.10.31 21:15

「軽=ウルサい」は過去のもの?

そのACC+LKASによる高速道路での安定性も進化している。直進安定性も車線キープ力も高められている。

パーキングエリアへの侵入といったタイトなコーナー以外なら旋回性能にも不満はない。

高速道路の一部区間で最高速度が120km/hになり、ユーザーが求めるレベルが高まったこともフルモデルチェンジの理由と、ホンダは説明している。
高速道路の一部区間で最高速度が120km/hになり、ユーザーが求めるレベルが高まったこともフルモデルチェンジの理由と、ホンダは説明している。    宮澤佳久

加速時などでエンジン回転数が極端に上がらない限りは、室内の静粛性に不満はない。「高速道路を走っているとウルサい」という軽自動車のイメージは、もはや過去のものだ。

道路の継ぎ目を乗り越したときのショックなどのいなし方も十分だし、ノンターボでも高速クルージングは快適だ。

ACCを作動して走行中、前にクルマが入ってきたり、またいなくなったときの加減速は従来型よりスムーズ(緩やか)になった。それでも減速に不安を感じさせるレベルではないし、また加速時は少し物足りないかなと思ったらアクセルペダルを踏み増せばいい。

高速道路で光るターボの良さ

標準車に好印象を持ったまま、カスタムのターボに乗り換える。

ブラック基調のインパネに本革巻きステアリングホイールと、なかなかスポーティな雰囲気だ。

新型Nボックス・カスタム・ターボ・コーディネートスタイル(222万9700円/FF/2トーン/スレートグレーパール )
新型Nボックス・カスタム・ターボ・コーディネートスタイル(222万9700円/FF/2トーン/スレートグレーパール )     宮澤佳久

ターボエンジンによる走りっぷりも雰囲気に違わず、街中でも高速道路でも余裕を感じさせる。ECONスイッチをONにしても顕著なパワーダウンは感じない。

パドルによるマニュアルシフトも可能で、7速100km/hのエンジン回転数はSレンジなら3000rpm、Dレンジなら2500rpmくらい。ターボの脈動効果のせいか室内騒音も抑えられており、静粛性はノンターボより高い。

ACC+LKASによる高速走行の安定性はノンターボの標準車と変わらず高レベルで、しかもレーンチェンジなどではアクセルペダルを踏み増さずとも十分に加速してくれる。やはり、高速道路を走行する機会が多いならターボエンジンを選びたくなる。

軽スーパーハイト市場の今後は?

標準車、カスタムとも走りに良い印象を持ったところで、あらためてコクピットまわりを見てみる。

水平基調のインパネの向こうに広がる視界は相変わらず良く、アイポイントも高いので初心者でも運転しやすいだろう。7インチTFT液晶メーターの視認性やインターフェイスの操作性も高い。

新型Nボックス(164万8900円/FF/内装色:グレージュ×グレー)
新型Nボックス(164万8900円/FF/内装色:グレージュ×グレー)    宮澤佳久

内外装、パワートレイン、安全&快適装備とも、見た目以上に大きく進化した新型Nボックス。軽スーパーハイトワゴンの王座はもちろん、「日本の国民車」の地位も盤石になったように思える。

とはいえ、ダイハツはタントを昨年にマイナーチェンジして、バリエーションも拡大し追撃態勢を強化している。

スズキはジャパン・モビリティショーに参考出品中の「スペーシア・コンセプト」の市販モデルを、近いうちに発売するのは間違いない。

三菱デリカ・ミニが好調だし、日産もルークスをマイナーチェンジして内外装をリフレッシュした。

どうやら今後の軽スーパーハイトワゴン市場も、フルモデルチェンジされたNボックスを軸に展開していくことは間違いなさそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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