BMW iX3後継、2026年頃登場か どう変わる? 新世代の「ノイエ・クラッセ」SUV

公開 : 2023.12.15 06:25

・BMWは6車種の「ノイエ・クラッセ」EV群を2025年から順次導入。
・3シリーズやX3の後継車も。バッテリー、モーターなどすべてが新世代。
・「駆けぬける歓び」を実現する超高性能コンピューターの存在。

まったく新しい「ノイエ・クラッセ」EVの正体

ドイツの自動車メーカーであるBMWは、「ノイエ・クラッセ」と呼ばれる次世代EV群を2025年に導入する予定だ。最近、iX3の後継車らしきプロトタイプがドイツ国内で目撃されるなど、その具体的な姿が徐々に明らかになってきた。

ノイエ・クラッセはセダンやSUVを含む6車種が計画されており、最も高性能な仕様で600ps近い出力を発揮すると言われている。今年9月には、ビジョン・ノイエ・クラッセとして3シリーズの後継車も予告された。

BMWは2026年前後に「ノイエ・クラッセ」SUVを導入する。(編集部作成予想CGイメージ)
BMWは2026年前後に「ノイエ・クラッセ」SUVを導入する。(編集部作成予想CGイメージ)    AUTOCAR

BMWの研究開発部門責任者であるフランク・ウェーバー氏は本誌の取材に対し、ノイエ・クラッセの複数のEVモデルがBMWのラインナップに順次追加されると語った。

「BMWは今、柔軟性が求められる段階にいます。これまでのプラットフォームの捉え方、認識から離れなければならないのです」

「ポートフォリオの多様性は、エンジン、モーター、バッテリーセル、車載コンピューター、制御ユニット、アプリ機能、ソフトウェア・アップグレードなど、主要コンポーネントをどのように使用し、どのようにネットワーク化するかにかかっている。そのような認識が高まってきています」

「プラットフォームの構造そのものよりも、個々のコンポーネントとその使い方が重要なのです」

第2世代となる次期iX3(コードネーム「NA5」)は、現行車と同様の戦略で、ガソリン、ディーゼル、PHEVモデルとともに販売される。しかし、プラットフォームは別物となり、次期iX3がEV専用に移行する一方で、エンジン搭載車は既存のCLARの改良版を使用する。

ウェーバー氏は、「販売台数の大部分を電動車とする場合、すべてのプラットフォームをどのように調整するかを検討しなければなりません。わたし達は、従来の内燃エンジンモデルの強みと次世代EVの開発が、BMWのさらなる成長につながると確信しています」と述べている。

円筒セルの水冷バッテリー採用 充電速度もアップ

次期BMW iX3は、2025年からハンガリーのデブレツェンの新工場で生産される予定だ。アウディQ6 eトロンポルシェ・マカンEV(車名未定)などがライバルとなるだろう。

ドイツのミュンヘンとメキシコのサン・ルイス・ポトシにある工場でも、2026年と2027年からノイエ・クラッセモデルの生産が開始される予定である。

ドイツで目撃されたBMW「ノイエ・クラッセ」SUVのプロトタイプ
ドイツで目撃されたBMW「ノイエ・クラッセ」SUVのプロトタイプ    AUTOCAR

一方、内燃エンジン搭載の次期X3(ガソリン、ディーゼル、PHEV)の生産は、引き続き米国スパータンバーグ工場で行われる。

ノイエ・クラッセでは、BMWが開発した第6世代の新しいリチウムイオンバッテリーが導入される。既存の角柱型セルとは異なり、水冷機能を備えた新しい円筒型セルを採用している点が特徴だ。セルの標準直径は46mmで、搭載されるモデルによって95mmと120mmの2種類の高さがある。

ウェーバー氏は、現在使用されている第5世代バッテリーと比較して、正極内のニッケル含有量が多く、コバルト含有量が少ないことを明らかにした。また、負極はシリコン含有量を増やし、合成黒鉛の配合を変えている。これにより、体積あたりのエネルギー密度が20%向上するという。

つまり、同じサイズのバッテリーで、より長い航続距離を実現できるようになるのだ。さらに、既存の400Vアーキテクチャーから、より強力な800Vへの移行により、充電速度が30%向上するとされている。

2025年のデビューを前に、まだ明かされていない点も多いが、次期iX3をはじめとするノイエ・クラッセモデルは高出力DC充電器で最大350kWの充電に対応し、充電時間を大幅に短縮すると予想されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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