伝統のロータリーエンジンが830ccにて復活 マツダMX-30ロータリーEV 新規開発の8C型搭載

公開 : 2023.12.13 17:45

マツダが発表したMX-30ロータリーEVには、遂にロータリー・エンジンが搭載されました。新開発の8C型と言われる830ccのロータリーに直接の駆動力はありませんが、ロータリー音と独特の鼓動は健在のようです。

新開発されたシングル・ローターのロータリー・エンジンを搭載

マツダの「MX-30ロータリーEV」の特徴は、発電用とはいえロータリー・エンジンを復活させて搭載していることだ。

ロータリー・ファンにとっては、これ以上ない朗報であろう。そんな新しいロータリー・エンジンは、830ccの1ローターで8C型と呼ばれる。

マツダMX-30ロータリーEV
マツダMX-30ロータリーEV

かつて「RX-7」/「RX-8」に搭載されていた13B型ロータリー・エンジンは654ccの2ローター。つまり、8C型は、まったくの新規開発されたロータリーとなる。

1ローターの排気量は大きくなったものの、出力は72psとささやかなもの。かつての「RX-8」に搭載されていた13Bはノンターボながら、250psを誇っていたことを考えると、新型8C型ロータリーは、発電用として省スペースを優先していることが特徴と言えよう。

「MX-30ロータリーEV」は、この8C型ロータリー・エンジンに、駆動用の170psのモーター/17.8kWhのリチウムイオン電池を組み合わせた。ボンネットの中には、モーターとエンジン・ユニットがぎっしりと詰まっている。

ちなみに、兄弟車であるEV版の「MX-30 EV」のボンネットの中にあったのはモーターだけで、何もない空間が3分の1ほど存在していた。その空間にロータリー・エンジンを積むと「MX-30 R-EV」になるというわけだ。

107kmのEV走行で、最大870kmの航続距離を実現

「MX-30ロータリーEV」は、車名に「EV」とあるように、駆動はすべてモーターが担う。

しかし、エンジンを積んで発電しているということで、区分としては「シリーズ・ハイブリッド」になる。また、搭載する二次電池に外部から充電することができるので「プラグイン・シリーズハイブリッド・カー」が正式な名称となる。

マツダMX-30ロータリーEV
マツダMX-30ロータリーEV

「EV」とあるけれど、ハイブリッド車なのだ。

夜のうちにフル充電しておけば、日中はEV走行のまま最高107km(WLTCモード)までを走ることができる。1日で100kmを超えて走る人は意外に少ない。年間1万kmを走る人であっても365日で割ると、1日あたりは約27.4kmに過ぎない。107kmもEV走行ができるので、実質的にEVとして利用できるのだ。

それでいて週末のロングドライブになれば、ロータリー・エンジンの発電があるので長距離も怖くない。燃費性能は15.4km/Lで、燃料タンクが50Lあるので、エンジンで発電しながらであれば770kmの走行が可能。

これに107kmのEV走行距離をプラスすれば、870kmのトータル航続距離となる。また、高価なリチウムイオン電池を減らすことができたためBEVよりも安価という点も見逃してはいけない。

平日のEV走行、週末のロングドライブをこなし、しかもBEVよりも安い。今ある電動車としての最適解と呼べるような存在なのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。
  • 撮影

    小川亮輔

    Ryosuke Ogawa

    1986年生まれ。幼少期から父親の影響でクルマに惹かれている。独身時の愛車はシボレー・コルベットC5 V8 5.7Lのミレニアムイエロー。現在はレンジローバーV8 5.0L(3rd最終型)に家族を乗せている。2022年、SNSを通してAUTOCAR編集部の上野太朗氏に発掘される。その2日後、自動車メディア初仕事となった。instagram:@ryskryskrysk
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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