BMW iX3後継、2026年頃登場か どう変わる? 新世代の「ノイエ・クラッセ」SUV

公開 : 2023.12.15 06:25

高性能の次世代モーター 最高出力は600ps?

モーターもまた、ノイエ・クラッセで重要な鍵となる。ウェーバー氏によると、次世代モーターはノイエ・クラッセ用に設計されているものの、CLARベースの他の電動車にも使用できるという。

巻線、ステーター、ハウジング、ウォーター・ジャケットの変更による冷却能力の向上が特徴とされている。

ドイツで目撃されたBMW「ノイエ・クラッセ」SUVのプロトタイプ
ドイツで目撃されたBMW「ノイエ・クラッセ」SUVのプロトタイプ    AUTOCAR

BMWはノイエ・クラッセモデルの効率を25%向上させると謳っているが、ウェーバー氏によれば、この改善はモーターだけによるものではないという。

「BMWは最大限の効率性と同時に最大限のダイナミクスを求めています。効率に貢献するのは電気モーターだけではありません。すべてのコンポーネントと、重量、空力、転がり抵抗といった二次的効果など、システム全体が関わるものなのです」

「現在、i4の現実的な航続距離は約400kmです。将来的には500km以上になるでしょう。バッテリーを大きくすることだけが答えではありません」

後輪駆動のみの現行iX3とは異なり、第2世代では後輪駆動と四輪駆動が用意される。フラッグシップの「iX3 M60(仮称)」など、Mブランドのパフォーマンス仕様も導入される見込みだ。iX3 M60では、2基の第6世代モーターから発生する最高出力は600psに迫ると予想されている。

「駆けぬける歓び」をどう実現するか

BMWらしいドライビング・キャラクターを実現するため、ノイエ・クラッセモデルには「ハート・オブ・ジョイ」と呼ばれる高度な制御システムが搭載される。これについてウェーバー氏は次のように述べている。

「ハート・オブ・ジョイはBMWのDNAに他なりません。ドライビング・ダイナミクスに関連するすべてを網羅し、ドライブトレインとシャシーの相互作用と機能における基礎となるものです」

BMW iX3(現行)
BMW iX3(現行)

「わたし達は、これを成功裏に行える競争相手はほとんどいないと確信しています。競合他社はどこからかコンピテンシーを購入するかもしれませんが、このように組み合わせて購入できるところはありません。というのも、BMWは自分たちの専門知識と技術を駆使して、自分たちの手で成し遂げたからです」

ウェーバー氏によれば、BMWの信条である「駆けぬける歓び」を電動車においても実現するために多大な投資を行ってきたという。「ノイエ・クラッセでは、まさにこのキャラクターをめぐって長い議論が交わされました」

「わたし達は、お客様が求めているのはコンピューターと車輪だけではないという結論に達しました。お客様はデジタル技術を駆使した製品を求めているが、車輪のついたコンピューターは求めていない。求めているのは、非常に感情的な関係です」

BMWは独自のドライビング・キャラクター構築にあたって、モーターとスロットルレスポンスの開発に心血を注いでいるようだ。

「電気モーターは非常に正確で、やや不器用な内燃エンジンとは異なります」

「電気モーターは信じられないほど細かく制御できます。わたし達はシャシーシステムと組み合わせて、EVのドライビングを次のレベルに引き上げることに成功しました」

ハート・オブ・ジョイは4つの独立マイクロプロセッサーを搭載し、その処理能力には大きな期待が寄せられている。

「これまでの20倍の速度で動作します。開発を始めると、すぐにコンセプトが正しかったことに気づきました。わたし達が想定していなかったのは、その可能性でした。これは本当のゲーム・チェンジャーです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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