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先代メルセデス・ベンツGクラス 惜別の辞 3カ月をともに過ごして

2018.09.01

100字サマリー

いよいよ新型が登場したメルセデスのGクラスですが、AUTOCAR英国のスタッフが3カ月を先代モデルとともに過ごしました。積雪のなか暖房用オイルを買いに行ったりと、その性能を存分に発揮させたようですが、ともに過ごした3カ月は、本質的になにをもたらしたのでしょうか?

もくじ

暖房用オイルが必要 積雪など恐れるに足らず
何事も無く任務完了 家族の一員
設計は40年前 それでも運転を楽しめる
伝統的で本格的なプレミアムオフローダー
驚きのオフロード性能 人生における一服の清涼剤
番外編 新型Gクラスに必要なこと

暖房用オイルが必要 積雪など恐れるに足らず

なぜお湯が出ないの? 娘からの抗議がもとで、原因調査が始まり、その結果、メルセデス・ベンツGクラスが今後数カ月ではなく、わたしが生きている限り生産され続けて欲しいと思うような冒険に出ることになったのだ。

原因は単純だった。あまりにもつまらなく、あまり勿体ぶった言い方が得意ではないので率直に言えば、単にわが家の暖房用オイルがなくなっただけだった。そして、そのこと自体は問題ではなかったのだ。問題は3月に英国を襲う、「西からの悪天候」だった。わたしの家は、初めて訪問するひとには道を教えなくてはならないほどの郊外にあり、常に「こんなところにひとなんか住んでいないだろうと思っても、そのまま進んでください」と付け加えるほどの場所にあるのだ。

好天でもオイルローリーが配送に苦労するほどなのに、いま外には雪が積もり、ますますその量を増している。こんな状況でオイルを手に入れようと思えば、自分で買いに行くしかないが、出来ればそんなことはしたくなかった。しかし3日後にはオイルが底をつく状況で、なんとしてもオイルを手に入れる必要があったのだ。


オイルデポに電話をすると、ありがたいことに電話は繋がったが、電話口の相手は彼らもオイルが無くなる前に店を閉めるつもりだと言った。少し待ってくれるように頼むしかなかった。「どれくらいでこれますか?」。「1時間くらいで……」。「30分なら待ちますよ」。「がんばって40分くらいで着くようにします」。心からのお願いだった。「OK、でも41分かかるなら店は閉めるよ」

普通なら、ボスニアの冬にも立ち向かえる(決して誇張ではない)タイヤを履いた、わが愛する古いランドローバーで向かうところだが、このクルマはあまりにもスピードが出ない。しかし、幹線道路に砂が撒かれているなら、Gクラスで行けば間に合うはずだ。

無駄足かも知れないが、気温が2ケタに届かないなかでは、古く、断熱もいまひとつのわが家の配管が凍結して破損する可能性があり、そうなれば、寒さや家がキレイじゃないことなど、さしたる問題ではなくなるのだ。

しかし、この大型ベンツに乗り込んで、ドアを閉めると、ドアがロックする音と同時にクルマがわたしを包み込み、幸せな気持ちが満ち溢れてきた。この頑丈な金庫のようなキャビンに包まれていると、数cmの積雪を恐れるなど、まったくバカバカしいことのようにさえ思えてきた。

 
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