[アバルト70年の歩み]特別コンテンツ

もう一度アスファルトへ 1935年製ブガッティ・タイプ59を再生 前編

2019.11.17

100字サマリー

何度か大きなクラッシュに見舞われた、グランプリ・レーサーのブガッティ・タイプ59がロードカーへと再生。シャシーナンバー「59121」は見事なレストアを受け、アスファルトをセンセーショナルに蹴り出しました。

もくじ

フランスの一般道を800km走ったタイプ59
信頼性に課題のあったブガッティ
充分な競争力を持っていたグランプリマシン
整備不良に寄る死亡事故
ベイロンの開発者がオークションで落札

フランスの一般道を800km走ったタイプ59

text:Mick Walsh(ミック・ウォルシュ)
photo:Tony Baker(トニー・ベイカー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
レーシングドライバー、HWMのジョージ・アベカシスとレーシングチームを、1935年製のグランプリマシンと一緒に手に入れて、イングランドの自宅へドライブすることを想像してみる。

これに似た状況が、若きプライベート・レーサーだったチャーリー・マーティンとリチャード・シャトルワースの身にも置きた。フランス・モルスハイムで、ワークスマシンだった1935年製ブガッティ・タイプ59、シャシーナンバー59121を手に入れたのだ。

ブガッティ・タイプ59(1935年)
ブガッティ・タイプ59(1935年)

ブガッティ・タイプ59といえば、史上最も美しいレーシングマシンの1つ。シングルシーターのレーシングマシンが一般化していく中で、最後の2シーター・マシンでもある。

レース部門で簡単な案内を受けると、マーティンはまばゆいタイプ59に飛び乗り、フランス横断の800kmの旅へと出発した。サポート車両もなく、コクピットに小さなスーツケースを放り込んで。大雨の予報で、エットーレ・ブガッティからマッキントッシュ製のレインコートも借りたらしい。

この横断旅行の内容は、戦前のブガッティのクラブ誌、ブガンティクスにも掲載された。プラグ交換でターミナルをプラグホールに落としたり、性能の低い燃料ポンプ対しての不満まで、鮮明に記録されている。

顔に当たる雨滴で頬は赤くなり、凍結して固まった土が顔に飛んできた。雨で濡れた道を走る大変さを実感しただろう。クラクションもないクルマで、ゆっくり歩く地元の人たちを追い越すことも、毎回チャレンジ的要素だったはず。

 
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