クラシック・ロールス・ロイスを『エレクトロモッド』 ハルシオン・コーニッシュ EV V8から405psのモーターへ 若き技術者が高める魅力

公開 : 2026.06.17 18:05

V8エンジンから405psのモーターへ置換された、ロールス・ロイス・コーニッシュ。現代モデルへ劣らず、走りはスムーズ。若き技術者の手で、本質的な魅力は高まったとUK編集部は評価します。

記憶へ刻まれる威厳に満ちた走り

少し離れた場所からでも、優美なショルダーラインに魅了される。1km走らずとも、ボンネットのフライングレディが導く、威厳に満ちた走りが記憶へ刻まれる。

ロールス・ロイス・コーニッシュ・コンバーチブルのベースになった、シルバーシャドーを前回運転したのは、既に30年ほど前。その時は、アスファルトを滑走するように処理する、古いサスペンションへ言葉を失った。もちろん、円熟の美貌にも。

ハルシオン・ ロールス・ロイス・コーニッシュ・コンバーチブル EV(英国仕様)
ハルシオン・ ロールス・ロイス・コーニッシュ・コンバーチブル EV(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

今回ステアリングホイールを握ったのは、レストモッド・ガレージのハルシオン社によって、電動化(エレクトロモッド)されたコーニッシュ・コンバーチブル。同社は、グレートブリテン島南部、サリー州で3年前に設立されたばかりだ。

今後数年をかけて、クラシック・ロールス・ロイスを120台手掛ける予定だという。その内、半分はオリジナルの6.75L V8エンジンをリビルドして搭載する。残りは、駆動用モーターとバッテリーへ置き換える計画だそうだ。

話し合ってきた情熱を注げるクルマづくり

同社のメンバーは、大学のフォーミュラ・プログラムで意気投合した若き技術者、マシュー・ピアソン氏とチャーリー・メトカーフ氏、ウィル・バーデット氏の3人。「情熱を注げるクルマづくりを、以前から話し合ってきました」とメトカーフが話す。

「コロナ禍の中で、EVの未来を悲観しすぎているように感じていたんです。そこで、EVのロールス・ロイスというアイデアが生まれました。そもそも、電気モーターのように静かで洗練されたパワートレインの開発へ、注力してきた会社ですから」と続ける。

右から、マシュー・ピアソン氏とチャーリー・メトカーフ氏、筆者のスティーブ・クロプリー
右から、マシュー・ピアソン氏とチャーリー・メトカーフ氏、筆者のスティーブ・クロプリー    マックス・エドレストン(Max Edleston)

試作に当たって3名が選んだのは、1970年代後半に生産されたロールス・ロイス。駆動用バッテリーを隠せる大きさがあり、電動パワートレインへ換装しても、車重は殆ど変わらないだろうと考えたからだ。高い完成度も、その理由にあった。

彼らが描いた構想は、4ドアのシルバーシャドー IIと、2ドアのコーニッシュをレストア/エレクトロモッドし、年間15台提供するというもの。今は年に7台へ限られているが。

最高出力は405psで、航続距離は402km

ハルシオン社は、オーナーからベース車両を提供してもらうか、依頼を受けて好適な例を市場から探す。届けられたロールス・ロイスは地金まで分解され、依頼者の好みに合わせて高水準に仕上げられる。

レストアとエレクトロモッドに必要な費用は、45万ポンド(約9450万円)。V8エンジンを活かす場合は、42万ポンド(約8820万円)で済む。特別なカスタマイズを希望すれば追加費用も必要になるが、他社の例と比較しても法外な金額とはいえない。

ハルシオン・ ロールス・ロイス・コーニッシュ・コンバーチブル EV(英国仕様)
ハルシオン・ ロールス・ロイス・コーニッシュ・コンバーチブル EV(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

筆者の目の前にあるのは、初めて仕上がったエレクトロモッド版。落ち着いたメタリック・ブルーが艶やかな、コーニッシュ・コンバーチブルだ。

駆動用モーターはリアに載り、最高出力は405ps。バッテリーは77.0kWhの容量があり、航続距離は402kmが主張される。ご希望なら、512psと94.0kWhへアップグレードでき、482kmまで伸ばすこともできる。急速充電は、230kWに対応する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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