【欧州で一番人気のコンパクトEV】ルノー・ゾエ R135へ試乗 航続距離383km

公開 : 2020.04.02 10:20  更新 : 2020.04.15 18:00

不足のないパワーと航続距離を身につけた、コンパクトEVのルノー・ゾエ。都市部での移動だけでなく、長距離ドライブにも使いたくなる成熟度を獲得したと、英国編集部は評価します。ロンドン郊外で試乗しました。

1月に欧州では最も多くの台数を販売

text:Tom Morgan(トム・モーガン
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
欧州はルノー製のコンパクトEVに夢中になっているようだ。2020年1月には、EVとして最も多くの台数を販売したモデルこそ、ルノー・ゾエ。

ボディの見た目もインテリアも、大きく手直しが施されただけでなく、パワートレインも改善。大容量のバッテリーが搭載されたおかげだろう。

ルノー・ゾエ GTラインR135 Z.E.50(英国仕様)
ルノー・ゾエ GTラインR135 Z.E.50(英国仕様)

そんなゾエが英国にも上陸した。52kWhという容量のリチウムイオン・バッテリーで、WLTP値383kmの航続距離を実現。先代から30%も長くなった。次のクルマをEVにするべきか悩んでいるユーザーにも大きな影響を与えると、ルノーは予測する。

ホンダeやミニ・エレクトリック、プジョーe-208、オペルコルサ-eなど、矢継ぎ早に登場するライバルモデルにも強い競争力を示すことになる。航続距離で見れば、ゾエに迫れるのはe-208とコルサ-eだけだ。

といっても、現実世界では1度の充電で走れる距離は夏場でも320km程度。冬場なら260km程度まで落ちるだろう。

ルノーの場合、クルマの価格には7kWの家庭用充電器の設置費用も含まれている。初めてEVへ切り替えるユーザーにとっては、魅力的だと思う。50kWのDC急速充電器は、オプションとなる。

2020年版のゾエは、英国の大部分の道を安心して運転できる。前輪を駆動するモーターは先代の107psから133psへとパワーアップ。107ps版は、エントリーグレードへとシフトした。その結果、0-100km/h加速は2秒近く削っている。

従来どおり市街地に適した乗り心地

オペル・コルサ-eの方が加速は1秒ほど鋭いが、同クラスのコンパクトEVに並ぶ、スタートダッシュを獲得している。80km/hから110km/hくらいの中間加速時間も短縮しており、高速道路での運転に大きな違いをもたらしている。

ドライブモードは、D(ドライブ)とB(ブレーキ)との2種類。切り替えは従来的なシフトセレクターで行うのだが、スムーズで静かな電気モーターとの組み合わせが、少し不自然にも思えた。

ルノー・ゾエ GTラインR135 Z.E.50(英国仕様)
ルノー・ゾエ GTラインR135 Z.E.50(英国仕様)

Bモードでは、ワンペダル・ドライブが可能となるほど、充分に強い回生ブレーキが効くようになる。最大量で回生する場合の動作は、キアe-ニロより遥かにスムーズ。ただし、効きの強さをパドルスイッチなどで調整できる機能は備わらない。

30km/hくらいまで聞こえるサイエンス・フィクションのような高周波音は、EVへ乗り換えたことを実感する部分。クルマの近接を教えるものだが、ルノー・ゾエは特に音量が大きく感じられる。

町中を走る場面などでは、EVに乗っているという感情を高めてくれる。もし気に入らなければ、音を鳴らなくすることも可能だ。

乗り心地は、これまでのゾエと同様。市街地ではとても穏やかに運転ができるが、高速道路で橋桁の継ぎ目を通過した場面などでは、平穏を保てなくなる。路面の荒い郊外の道では、落ち着きがなくなってくる。

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