ポルシェ・カイエン E-ハイブリッドへ試乗 「肉汁」たっぷりか、ビーガンか V6ターボのプラグインHV

公開 : 2024.02.17 19:05

シフトセレクターは小さなスイッチに

スポーツ+モードを選ぶと、トラクション・コントロールの介入が控えめに。僅かに、後輪が主体の特性を感じ取れる。

思い切り運転しても、駆動用バッテリーは走行中にV6エンジンの余力で充電可能。再び散歩するご婦人と出くわしても、一定の充電量は保たれているから、静かに住宅地を通過できる。

ポルシェ・カイエン E-ハイブリッド・クーペ(英国仕様)
ポルシェカイエン E-ハイブリッド・クーペ(英国仕様)

さて、大規模なフェイスリフトを受けたカイエンだが、インテリアにもだいぶ手が加えられた。ドライブモード・セレクターは、そのままだけれど。

助手席正面のダッシュボードには、オプションでタッチモニターを追加できるようになった。ドライバーからは表示内容が見えない賢い設計で、気分次第でネット動画も楽しめる。ラップタイムの確認も可能だ。

センターコンソールにあったシフトセレクターは、ドリンクホルダーとスマートフォンのワイヤレス充電パッドのために移動。メーター用モニターの横から突き出た、小さなトグルスイッチになった。

従来的なシフトレバーが懐かしい。指先でカチカチとするより、手のひらで握って腕を動かした方が、操っている満足感は高い。

ちなみに、上に倒すとリバースで、下に倒すとニュートラル。下方へ長く倒し続けると、ドライブとマニュアルへ切り替わる。スイッチ自体はローレット加工が施され、高級感があるが、周囲のフレームはプラスティック製で安っぽく見えた。

有能なビーガン・ミートボール

今回試乗したカイエンはクーペだったが、荷室の容量は434L。ワゴンボディのカイエン E-ハイブリッドより193L狭まる。駆動用バッテリーが載らない通常のカイエンと比べると、338L狭い。

傾斜したルーフラインの影響で、後方視界は限定的。ブレーキをかけると、85km/h以上で展開されるアクティブ・スポイラーが動き、更に死角が広がる。2000ポンド(約37万円)も高いクーペボディを選択するのだから、これは納得のうえだと思うが。

ポルシェ・カイエン E-ハイブリッド・クーペ(英国仕様)
ポルシェ・カイエン E-ハイブリッド・クーペ(英国仕様)

カイエン E-ハイブリッドは、有能なSUVだ。ただし、通常のV8ツインターボを肉汁たっぷりのミートボールだとすれば、V6プラグイン・ハイブリッドはビーガン・ミートボール。本当の美味しさを、堪能できるわけではない。

確かに、走行時の環境負荷は抑えられるかもしれない。だが筆者が選ぶなら、カイエン Sということになる。

執筆:マレー・スカリオン(Murray Scullion)

ポルシェ・カイエン E-ハイブリッド・クーペ(英国仕様)のスペック

英国価格:8万1900ポンド(約1523万円)
全長:4930mm
全幅:1983mm
全高:1678mm
最高速度:254km/h
0-100km/h加速:4.9秒
燃費:55.5-66.7km/L
CO2排出量:33-42g/km
車両重量:2445kg
パワートレイン:V型6気筒2995cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:25.9kWh
最高出力:476ps/5300-6400rpm(システム総合)
最大トルク:66.1kg-m/1340-5300rpm(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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