「大切なものは数字じゃない」 感情に訴えるランボルギーニのEV 見えない魅力とは

公開 : 2024.02.09 06:25

ランボルギーニが開発中の次世代電動スポーツカーは、カタログ上の出力や加速性能だけでなく、エモーショナルな魅力を第一優先としている。同社CEOによると、ランボルギーニ独自の運転体験を目指しているとのこと。

数字だけでは語れない「独自の運転体験」

イタリアの自動車メーカーであるランボルギーニは、電動スポーツカーの研究開発を順調に進めている。同社によれば、表面上のパフォーマンスも驚異的なものだが、ダイナミクスとエモーショナルな魅力を第一に考えているという。

ランボルギーニは昨年、初の量産EVコンセプトとして「ランザドール」を発表。2028年頃に最高出力1000psを超える4ドアGTカーの発売を予定している。

ステファン・ヴィンケルマンCEOは、数値や性能だけに頼るべきではないと語る。(編集部作成予想イメージCG)
ステファン・ヴィンケルマンCEOは、数値や性能だけに頼るべきではないと語る。(編集部作成予想イメージCG)    AUTOCAR

一方で、スーパーカーのEV化計画についてはまだ明らかにされていないが、ステファン・ヴィンケルマンCEOは本誌の取材に対し、パワーとパフォーマンスの数値だけに頼ることはないと語っている。

ヴィンケルマンCEOはEV開発において「多くの市販EVをテストしている」とし、運転体験が必ずしも普遍的なものにはならないと強調した。

「多くの違いがあることがわかります。つまり、EVをブランドのニーズに合わせることが可能だということです」

新型EVはこれまでのどのモデルよりもパワフルで、加速力も相応に高いはずだが、同社が重視しているのは、ランボルギーニ独自のユニークな運転体験を提供することだという。

「確かに数値は重要です。出力については、少なくとも1メガワット(1360ps)に達します。これは確かです。これは、未来のパフォーマンスを測定する柱の1つとなります」

「ですが、ランボルギーニにとって、これらの数字よりもはるかに重要なのは、クルマに乗ってどう感じるかです。パフォーマンスは2種類に分けられます。1つは加速、最高速度、ラップタイム、ブレーキ挙動です」

「これをエモーショナルな側面に変換しなければなりません。ランボルギーニに乗るお客様は皆、ランボルギーニにはエモーショナルな部分があることを認めています。これはEVも同じでなければなりません」

ヴィンケルマンCEOは、電動スーパーカーのパワーウェイトレシオは「驚くべき」ものになると示唆したが、「重量は現在よりはるかに重くなるだろう」と認めた。

そこで、ダイナミクスにおける魅力を高めるため、「ソフトウェアの可能性」や新たなパワートレイン技術を模索している。

「加速、最高速度、航続距離の両立……わたしがこの話をすると、エンジニアたちはいつも頭を抱えてしまいます。あらゆる意味で、これを最高レベルで実現するのは、ほぼ “ミッション・インポッシブル” です」

ランボルギーニのエンジニアたちは現在、このバランスを実現するために「懸命に取り組んでいる」という。プロトタイプのテストにはまだ至っていないが、「クルマの中身がどうなるかはわかっています。このタイプのクルマで説得力を持たせることには自信がありますから」とヴィンケルマンCEOは語った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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