えっ、おもちゃがクルマを変えた? レゴから生まれた「独特すぎる」ハイブリッド技術とは

公開 : 2024.02.23 18:05

イノベーションは1人から生まれるものではない

フレモー氏は、Eテック・ハイブリッドの発見における自身の功績に誇りを持っているが、それを実現できたのはチームの努力の賜物だという。

「摩擦という沼にハマっています」と彼は楽しそうに言う。「ハイブリッド・システムで摩擦を低減できたときはとても嬉しかった。特に、ルイ・ルノー(創設者)が最初に作った1台から、最新のF1マシンにも使われているドッグクラッチ技術を使うことになったのは大きな喜びです」

実機のEテック・ハイブリッドについて説明するエリック・ペクー氏
実機のEテック・ハイブリッドについて説明するエリック・ペクー氏    AUTOCAR

弊誌取材陣はパリ西部のテクノセンターを訪れ、オリジナルのEテック・ハイブリッドのレゴモデルを見学した。フレモー氏によれば、初期の開発チームはまずシンプルな実証モデルを何度も作ったという。

ルノーのグローバル・パワートレイン・エンジニアリング・プロジェクト・ディレクターであるエリック・ペクー氏も、重要なサポーターの1人だ。

ペクー氏は、「ルノーにとって、最終的に向かう先がEVであることは間違いありません。しかし、ハイブリッド車がEVへの理想的な第一歩になると信じています。わたし達は、これをルノーらしいプロジェクトにしたかった。扱いやすく、最新技術を使いながらも、手頃な価格にしなければなりませんでした」と語る。

手頃さを実現するため、当初はルノーではなくダチアのモデルへの採用が考えられていた。しかし、開発が進むにつれ、可能性が見えてきた。2014年公開のコンセプトカー「Eolab」にも搭載され、当初は3人しかいなかった開発チームは、やがて数百人にまで膨れ上がった。

「イノベーションは決して1人から生まれるものではありません。特にハイブリッド・システムのように複雑なものであればなおさらです」とフレモー氏。

進化を続ける独自技術 将来への「期待」

ギア設計やソフトウェア設計における数多くのイノベーションが、現在も生まれ続けている。Eテック・ハイブリッドはすでに150件の特許を取得しており、ペクー氏とフレモー氏は、短期的にはライバルが追随できる技術ではないと考えている。

2時間ほど話を聞いた後、筆者は第1世代のEテック・ハイブリッドを搭載したクリオでのドライブを勧められた。弊誌の他の記者もこのクルマに試乗しているが、筆者の所見は彼らとまったく同義であった。

ルノー・クリオEテック・ハイブリッド
ルノー・クリオEテック・ハイブリッド

変化に富んだ短距離のルートで、滑らかさ、静粛性、しなやかな脚、そして(トリップメーターによれば)優れた燃費といった、さまざまな特長が見えてくる。

ルノーによると、Eテック・ハイブリッド搭載車は街中における走行時間の80%を電力のみで過ごせるという。これは、短いテストでも証明されたようだ。

Eテック・ハイブリッドは将来、どのように使われていくのだろうか? ルノーのエンジニアたちは、いずれは有効期限を迎え、EVに追い越される可能性を認めている。しかし、欧州では少なくとも11年、他の地域ではおそらくその倍は走れると期待する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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