74歳でルノー『クリオV6』を乗り回す 変わったクルマが大好きな英国紳士「できる限り運転し続けたい」

公開 : 2026.01.17 11:25

最高出力255psを誇るV6ミドシップのホットハッチ、ルノー『クリオV6』を購入した英国のマーティン・ハセットさん。現在74歳で、これからも可能な限り長く乗り続けたいとのこと。オーナーへのインタビューです。

V6ミドシップのモンスターを愛車に

クリオV6は、2000年にルノーが送り出したワイルドなハッチバックだ。英国では前期のフェーズ1と後期のフェーズ2を合わせて、わずか400台しか登録されていないため、めったに見かけることがない。オーナーのマーティン・ハセットさんは、そのことを気に入っている。

「わたしは、珍しくて変わったものが好きなんです」と彼は言う。「父がクルマを運転しなかったこともあって、父の時代のものは欲しいと思いません。その代わりに、アルファ・ロメオSZや少量生産車のような、珍しいクルマが好きです」

マーティン・ハセットさんのルノー・クリオV6
マーティン・ハセットさんのルノー・クリオV6

「もう1台、1997年式のマツダRX-7を所有しています。ちなみに、このRX-7はオイルをほとんど消費しないんです。あまりハードに運転していないんだろう、って言われますよ。クリオはとてもパワフルですが、限界域では不安定になります」

マーティンさんのクリオV6は、2004年に初登録されたフェーズ2のモデルで、走行距離はわずか5万3000km。ご存知の方も多いだろうが、フェーズ2ということは、フェーズ1よりもはるかに優れた構造と設計になっているということだ。

「ルノーは、クリオのミドシップにV6エンジンを載せるという奇抜なアイデアを持っていましたが、それを形にする時間がなかったのです。そこで、開発はTWR(トム・ウォーキンショー・レーシング)に委託されました。クリオはフェーズ2への改良を控えており、大至急、フェーズ1を市場に投入する必要があったため、TWRは急ピッチで開発を進めました。つまり、フェーズ1は、控えめに言っても開発が不十分だったんです」

ちなみに英国では、フェーズ1は『クリオV6ルノー・スポール』と呼ばれ、フェーズ2は『クリオV6スポール』と呼ばれていた。2002年に発売されたフェーズ1は、スウェーデンのTWR/ボルボの工場で組み立てられたが、その1年後に発売されたフェーズ2は、フランスにあるルノー・スポール(現在のアルピーヌ)の工場で生産されたため、少々ややこしいことになっている。

新車のようなコンディションを維持

マーティンさんはこう続ける。

「フェーズ1のオールアルミ製3.0Lエンジンは230psを発生しますが、生垣に突っ込んでしまうことで悪名高かった。本当に扱いにくいクルマだったんです」

マーティン・ハセットさんのルノー・クリオV6
マーティン・ハセットさんのルノー・クリオV6

「そこでフェーズ2では、シャシーの改良に取り組んでいます。信じられないかもしれませんが、ハンドリングを改善するためにホイールベースを延長して、さらにトレッドを拡大し、リアサブフレームを再設計し、ホイールも大径化しています」

「エンジン出力は255psですが、これは自然吸気エンジンとしては悪くない性能です。フェーズ1とフェーズ2の間で交換可能な部品はほとんどありません」

マーティンさんは、「田舎道でクリオをかっ飛ばす」ことを避けているという。おそらくそれが、愛車の見た目の綺麗さと、トラブルなく走れる理由だろう。さらに、彼はこのクルマで年間1600km程度しか走行していない。そのことは、ボディとエンジンルームが完璧に整備されており、インテリアも新車のように見えることからもうかがえる。雨天時には絶対に運転しないそうだ。

年間走行距離は少ないが、マーティンさんは1年ごとに、ウィルトシャー州にあるクリオV6専門店のSGモータースポーツに点検を依頼している。購入したのもこの店舗だ。

「前のオーナーさんは自分で整備を行っていたんです。このクルマが売りに出されていると聞き、見に行って試乗したところ、『これだ』と思いましたね。オーナーさんは当時入院されていたので、お会いすることはありませんでした」

マーティンさんは、このクリオV6を2万7000ポンド(約570万円)で購入した。現在の車両価値は、4万5000ポンド(約950万円)近いと見積もっているそうだ。

「投資目的で購入したわけではありませんが、損失が出ていないことは素直に嬉しいです。わたしは今74歳ですが、できる限り長く乗り続けるつもりですよ」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    役職:特派員
    フリーランスのジャーナリストで、AUTOCAR英国編集部の元スタッフ。姉妹誌『What Car?』誌の副編集長や『Practical Caravan誌』の編集長なども歴任した。元自動車ディーラーの営業マンという経験を活かし、新車・中古車市場や消費者問題について幅広く取り扱っている。近年は、これらのニュースや特集記事に加え、アイスクリーム・ワゴンのDIY方法から放置車両の探索まで、さまざまな記事を寄稿している。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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