祝!2024年の欧州COTY受賞 ルノー・セニック E-テックへ試乗 好バランスで人気を掴む?

公開 : 2024.04.01 19:05

上質な内装素材 公道では充分以上の218ps

フロントシートの雰囲気は、ワンボックスというより大きなハッチバックのよう。後方視界は限定的で、斜め前方は大きいドアミラーが死角を作っている。

インテリアの素材は上質。試乗車だったアイコニック・グレードには、部分的に高級感のある合成皮革が用いられ、テキスタイルの表情も悪くない。これらは、約80%がリサイクル素材から作られたという。

ルノー・セニック E-テック・ロングレンジ・アイコニック(欧州仕様)
ルノー・セニック E-テック・ロングレンジ・アイコニック(欧州仕様)

ダッシュボードのデザインは、ルノー・オーストラルと似ている。中央に12.0インチのタッチモニターが据えられ、多くの機能のインターフェイスになっているが、エアコン用のハードスイッチも残され操作性は優れる。

インフォテインメント・システムは、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応。タッチモニターは縦長で手を伸ばしやすく、ショートカットキーやグーグルマップなども機能的だと感じた。

ステアリングコラムからは、右側へ3本のレバーが突き出ている。シフトセレクターとウインカー、オーディオに割り振られているが、慣れるまでは誤って違うレバーを触れてしまうかも。

ドライブモードは、メガーヌ E-テックと同じマルチセンスを実装。パーソナル、コンフォート、エコ、スポーツの4モードを選べ、アクセルレスポンスやステアリングの重さ、間接照明の色などを切り替えられる。

全般的に落ち着いた乗り心地 優秀な電費

加速は鋭く、218psのパワーは公道では充分以上。0-100km/h加速は7.9秒で、出だしは力強い。直感的にスピードを調整できる点も美点だ。

回生ブレーキは3段階に強さを選べ、完全にオフにし、惰性走行も可能。最も強い状態ではワンペダルドライブに迫る制動力を得られ、下り坂ではエンジンブレーキのように活用できる。

ルノー・セニック E-テック・ロングレンジ・アイコニック(欧州仕様)
ルノー・セニック E-テック・ロングレンジ・アイコニック(欧州仕様)

活発に走らせると、若干ブレーキの反応に不安定さが感取された。日常的な条件なら、まったく違和感はないはず。

ダンパーは可変式ではないが、減衰特性の調整が巧みで、姿勢制御を引き締めつつ乗り心地は優しい。積極的に旋回するとボディロールが小さくないものの、不安を煽るようなものではない。全般的に落ち着いている。

路面の凹凸を超えても、不快な衝撃はなし。車内は静かといえ、ロードノイズは最小限に抑えられている。ステアリングは、スポーツ・モード以外は軽め。反応は自然で、フロントタイヤのグリップ力も高い。試乗車のホイールは、20インチだった。

高速道路でも、好印象は変わらない。ステアリングは切り始めの反応が若干クイックに転じるが、強いていえば、という程度。風切り音は、良く聞こえるようになる。運転を楽しめるタイプではないものの、堂々・悠々と先を急げる印象に充足感が生まれる。

電費は、市街地や郊外などを複合的に走らせた今回の平均で、5.6km/kWhと優秀。カタログ値から、0.3km/kWh下回っただけだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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