祝!2024年の欧州COTY受賞 ルノー・セニック E-テックへ試乗 好バランスで人気を掴む?

公開 : 2024.04.01 19:05

時代に合わせ、電動クロスオーバーへ生まれ変わったセニック 2024年の欧州COTY受賞 公道では充分以上の218ps 上質な内装に広いリアシート 英国編集部が評価

2024年の欧州COTYに輝いたセニック E-テック

欧州市場では、使い勝手のいいファミリーカーを検討する時、SUVへカテゴリーが絞られがち。この土地でのミニバン人気は低調で、選択肢が少ないためだ。

従来までスタイリッシュなワンボックスだったルノー・セニックも、最新版ではバッテリーEV化され、クロスオーバーへ生まれ変わった。それでも、これまで強みだった車内の広さや実用性の高さは、受け継がれたという。

ルノー・セニック E-テック・ロングレンジ・アイコニック(欧州仕様)
ルノー・セニック E-テック・ロングレンジ・アイコニック(欧州仕様)

加えて、幸先の良いスタートも切っている。2024年の欧州カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)に輝いたのだから。新しいボルボEX30BMW 5シリーズトヨタC-HRなど、並み居る強豪を抑えて。

現在、英国で提供されているセニック E-テックは4種類。ベースグレードは、60kWhの駆動用バッテリーと170psのモーターを搭載。19インチ・ホイールに12.3インチと12.0インチのツインモニター、グーグルベースの音声アシスタントを標準で装備する。

中級グレードでは、駆動用バッテリーが87kWhへ増量。モーターも218psへ強化される。その1つ、エスプリ・アルピーヌを選択すると、ホイールは20インチになり、スポーツシートなどを獲得。ブルーのステッチが、インテリアを彩る。

トップグレードはアイコニックで、ハーマン・カードン社製ステレオにパノラミック・ガラスルーフ、360度カメラ、カメラ式デジタルミラーなどを実装。写真のようなツートーン塗装は、1250ポンド(約24万円)のオプションだ。

E-3008以上に広いリアシート

見た目はスタイリッシュ。サイドウインドウは後方で跳ね上がり、リアガラスは小さめ。フロントマスクは、ルノーのロゴが巨大だが、若干プジョーに似ているかも。とはいえ、モダンな印象で新鮮味は強い。

プラットフォームは、日産アリアと同じCMF-EV。ツインモーターでの四輪駆動は予定されていない。

ルノー・セニック E-テック・ロングレンジ・アイコニック(欧州仕様)
ルノー・セニック E-テック・ロングレンジ・アイコニック(欧州仕様)

今回試乗したのは、87kWhと218psの組み合わせ。航続距離は624kmが主張され、60kWhでは429kmへ短くなる。ちなみに、このバッテリーはメガーヌ E-テックより6%もエネルギー密度が高いそうだ。

DCでの急速充電能力は、最大150kWと優秀。高効率な、ヒートポンプ式エアコンが標準となる。

それでは、後ろから車内を見ていこう。テールゲートを開くと、545Lの荷室が現れる。四角い空間で、荷物は積みやすいだろう。充電ケーブルは床下に収納できる。

40:20:40の分割で倒せる背もたれは、荷室の床面とフラットにならない。大きめのベビーカーなどを載せる場合は、少し持ち上げて奥へ押し込む必要がある。腰痛持ちの方は、注意されたし。オプションで、フラットにできるフロアを装備できる。

リアシートは、前後方向に広い。E-3008以上にゆとりがあり、広大なガラスルーフと相まって、開放感はかなりのもの。中央のアームレストを引き出せば、スマートフォンを充電可能。息子の身長が180cmを超えても、不満は出ないだろう。

ただし、チャイルドシートは、2脚しか固定できない。リアシートは、スライドやリクライニングしない。もう少し、レイアウトに自由度があってもいい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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