ディフェンダーそっくり? 30分水に浮かべる その場で回転できる 1196馬力のヤンワンU8へ試乗

公開 : 2024.03.28 19:05

BYDの高級ブランド、ヤンワンの大型SUVがU8 30分水に浮かべ、その場で回転できる4モーターのハイブリッド 見過ごせない技術力 英国編集部が評価

30分水に浮かべ、その場で回転できるU8

クルマでの出勤途中に、海へ突っ込んでしまったら? 普通なら全身ズブ濡れになり、愛車はオシャカになり、朝のミーティングへ遅れることだろう。

でも、ヤンワンU8なら大丈夫。30分間なら、水に浮かんでいられるらしい。タイヤを回転させて、ある程度進めるとか。ただし道路に戻った後は、ディーラーで点検を受ける必要がある。

ヤンワンU8(中国仕様)
ヤンワンU8(中国仕様)

ヤンワンは、中国のBYDによって約1年前に立ち上げられた、新興ブランド。今のところ欧州市場への進出は具体化していないものの、前向きな検討を進めているという。今回巡ってきたメディア向けの試乗会も、その判断材料になるのだろう。

写真を見て、ランドローバーディフェンダーに似ている、と感じた読者は少なくないだろう。確かに、筆者もそう思う。とはいえ、それだけとはいわせない、沢山の技術や機能も盛り込まれている。

U8は水に浮かぶだけでなく、前後の駆動用モーターを逆転させ、戦車のようにその場で回転できる。ユーチューブで、他のモデルの動きをご覧になったことがあるかもしれない。豪華なアームレストの小物入れは、-5度から60度まで好きな温度を保てる。

駆動用モーターは、前後左右のタイヤ毎に、合計4基搭載されている。シャシーはボディと別体のラダーフレームで、路面と接する角度は、本格オフローダーのイネオス・グレナディアに迫るという。

4モーターのHV ダッシュボードはベントレー

U8はバッテリーEVではなく、内燃エンジンのレンジエクステンダーを積んだハイブリッド。車重3500kgあるSUVを、電気だけで不満なく走らせるには、巨大な駆動用バッテリーが必要になってしまう。

2.0Lターボエンジンが発電し、49kWhの駆動用バッテリーと、4基の駆動用モーターへ電気を供給する。甘めの中国規格ながら、電気だけでの航続距離は180km。燃費は、7.1-10.6km/Lになるらしい。

ヤンワンU8(中国仕様)
ヤンワンU8(中国仕様)

BYDが提供できる、最高のラグジュアリーが目指された車内は豪奢。内装にはナッパレザーとウッドトリムが、惜しみなく投じられている。

翼を広げたようなダッシュボードのデザインは、ベントレーへ強く影響を受けたものだろう。しかし、品質や質感は届いていない。プラスティック製の部品が多く、ウッドパネルも前時代的な水準だ。

乗員空間にはゆとりがある。シートはサイズが大きく、ゆったり座れ、調整域も広い。

モニターも事欠かない。運転席の正面にはメーター用、ダッシュボードの中央にはカーブを描くインフォテインメント用、助手席の正面にもエンターテイメント用が備わる。

試乗車は中国仕様ということで、インターネットを介したストリーミング・サービスに対応していなかった。システムのメニューは、急遽英語へ翻訳されたそうだが、BYDのソフトウエアがベースとのこと。

タッチモニターの下部には、エアコン用のメニューが常時表示され、操作性は良い。ベーシックなBYDにも、反映されるかもしれない。

記事に関わった人々

  • イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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