マセラティMC20チェロをサーキットドライブ 「ネットゥーノ」V6の核をなすプレチャンバーを解説

公開 : 2024.04.15 17:45

まるで自然吸気、純レーシングの質感

ネットゥーノの正体を知ってからサーキットで走らせたMC20チェロは、以前公道でドライブしたときよりはるかに印象が強かった。

エンジンの吹け上がりに注目すると、4000回転あたりでターボ特有の盛り上がりを感じるが、リッター200ps超えというスペックから想像されるほどの落差はない。

マセラティMC20チェロ サーキット試乗
マセラティMC20チェロ サーキット試乗

一方7800回転のレブリミットが迫ってもパワー感が全く衰えない様子には自然吸気っぽさが漂う。さらに全域で感じられる鋭いスロットルレスポンスに関しても一般的なターボの印象と異なる。

それでも630ps版のネットゥーノから感じとれるキャラクターは、先ほど目の当たりにしたPCIの効果や圧縮比の高さ、そして決して大きいと思えなかったターボチャージャーの径からも納得がいくものだった。

MC20チェロではパワー感が先行、対するグラントゥーリズモやグレカーレの場合はトルク感が前面に押し出されていた。とはいえ630ps版の3000~5750回転で得られる74.4kgという強大なトルクが1750kgという車重を1トン少々くらいに感じさせてくれることも確か。

またコーナーリングでエンジン自体の質量をほとんど感じなかった点もネットゥーノのコンパクトネス、そしてフロントエンジン仕様とは違いドライサンプになっている効能なのかもしれないと感じた。

電動化に舵を切っているマセラティだが、2020年の半ばにネットゥーノをデビューさせていることからもリミットまで内燃機を追求し、ファンを魅了し続けるに違いない。

試乗車のスペック

価格:3650万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4670×1965×1215mm
最高速度:320km/h以上
0-100km/h加速:3.0秒以下
駆動方式:MR
車両重量:1750kg
パワートレイン:V型6気筒DOHC2992cc+ツインターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:630ps/7500rpm
最大トルク:74.44kg-m/3000~5750rpm
ギアボックス:8速オートマティック
タイヤサイズ:245/35ZR20(フロント)305/30ZR20(リア)

マセラティMC20チェロ サーキット試乗
マセラティMC20チェロ サーキット試乗

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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