エンジン版と共有部品ナシ! ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 ちゃんと「らしい」 航続500km以上

公開 : 2024.04.25 19:05

乗り心地は硬め 内燃エンジン版の訴求力へ迫る

ブレーキも称賛モノ。回生と摩擦が見事に調和し、バッテリーEVとしてはペダルへ伝わるフィーリングも濃い。

回生ブレーキの強さは、パドルなどで調整できない。だが、デフォルトで惰性走行し、ブレーキペダルを踏むと回生が始まる制御を、筆者は好ましく感じた。これも一貫性が高いからだ。

ポルシェ・マカン・エレクトリック(欧州仕様)
ポルシェ・マカン・エレクトリック(欧州仕様)

ターボでは標準装備の、エアスプリングとツインバルブ・ダンパーによるアクティブ・サスペンションは、秀抜な姿勢制御を実現。乗り心地は硬めだが、路面の不整を巧妙にいなし、強い衝撃も1発でなだめていた。

唯一、筆者が弱点だと感じたのが、市街地での乗り心地。高速域ではしなやかながら、特にターボは、つぎはぎの多い路面の影響を受けやすい様子。英国や日本の一般道では、不快に思えるかもしれない。ロードノイズも大きい。

英国価格は、マカン 4 エレクトリックで6万9800ポンド(約1340万円)から。ターボ・エレクトリックでは、9万5000ポンド(約1824万円)へ跳ね上がる。

総合的な能力の高さで、4の魅力が際立つ。オプションを組んでも、8万ポンド(約1536万円)以内に収まるだろう。

マカン・エレクトリックが抱える当面の課題の1つが、内燃エンジンのマカンの訴求力へ匹敵するかどうか。これに関しては、ほぼ達成されたと思う。

バッテリーEVとしての完成度は高い。タイカンと同様に、しっかりポルシェらしい雰囲気も宿す。ブランドの電動化は、順調なようだ。

◯:快活で素晴らしい操縦性 洗練され好ましいインテリアの品質 急速充電能力
△:僅かに運転の自信を損なう重めの車重 低速域での乗り心地

ポルシェ・マカン 4 エレクトリック(欧州仕様)のスペック

英国価格:6万9800ポンド(約1340万円)
全長:4784mm
全幅:1938mm
全高:1622mm
最高速度:220km/h
0-100km/h加速:5.2秒
航続距離:516-613km
電費:4.6-5.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2330kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:95.0kWh (実容量)
急速充電能力:270kW
最高出力:405ps(システム総合)
最大トルク:66.1kg-m(システム総合)
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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