最強・最速は喜びも最高 ランボルギーニ・レヴエルト:ベスト・ドリームカー賞 AUTOCARアワード2025

公開 : 2025.07.28 19:05

2024年後半から2025年前半で、各カテゴリーのベストを称えるAUTOCARアワード スーパーカーからコンパクトカーまで、各部門を制した栄えあるモデルは? UK編集部が5台を選出

ランボ体験の喜びを塗り替える

V型12気筒エンジンを積んだランボルギーニのスーパーカーを、ドリームカーに選出するのは、少し安直かもしれない。コダワリの強いクルマ好きは、もしかすると眉をひそめるかもしれない。

振り返ると、過去のV12エンジンのランボルギーニは、運転体験の喜びがそこまで巨大ではなかった。アヴェンタドールは、見た目は躍動的で聞き惚れるサウンドを奏でたが、走りの感動は期待ほど強くなかったといえる。

ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)
ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)

スタイリングを最優先させたかのように、高度なメカニズムを操る繊細な感触は乏しかった。滅法速く、多くの視線を集めても、ドライバーが得られる充足感は最高とまではいえなかった。乗りにくさも否定できなかった。

30分走らせれば、ガレージへ戻ろうと思えたかもしれない。同時期のフェラーリの方が、複層的な魅力を宿していたと思う。

初の1000馬力超え、だけじゃない特長

しかし新しいレヴエルトは、そんな見方を180度変えるといって過言ではない。トリプルモーターによるハイブリッド化によって、総合1000馬力超えのパワーを得た、初のランボルギーニというだけではない。

トランスミッションはセミ・オートマティックから、駆動用モーターを内蔵したデュアルクラッチへ進化。四輪駆動システムも、ハルデックス・カップリングとお別れし、フロント側にモーターを2基実装することで叶えている。

ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)
ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)

シャシー中央に載るのは、新開発された自然吸気の6.5L V12エンジン。これは825psを繰り出し、リアアクスルのみを動かす。

インテリアも大幅にアップデート。タッチモニターを獲得し、アップル・カープレイとアンドロイド・オートへ対応している。ステアリングホイールのEVボタンを押せば、エンジンを回さず早朝の住宅地を離れられる。

最強・最速で、運転体験も過去イチ

AUTOCARとして特に評価するのが、新次元の操縦性。アヴェンタドールよりボディサイズは拡大しつつ、高速に演算する電子制御ユニットが、スタビリティ・コントロールやトルクベクタリングを高水準に調和させ、一体感の強い走りを実現している。

歴代最大で最強、最速のランボルギーニは、運転体験も過去イチで素晴らしい。フェラーリのように、ドライバーは操る自由度を享受できる。路面のワダチによるワンダリングは減り、乗り心地も磨かれた。

ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)
ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)

V12エンジンに3基の電気モーターを組み合わせ、至高の体験を生み出すことに成功している。最高速度を除いたAUTOCARの計測では、動力性能はブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツを凌駕してもいる。

レヴエルトは、ランボルギーニにおけるドライバーの充足度を刷新した。新時代の到来を告げる、夢のようなクルマだといっていい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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