ヘセルの血統宿るパフォーマンスを手中に 電動ロータスの第3弾、エメヤに欧州試乗

公開 : 2024.07.03 07:05

・ロータス・エメヤに欧州試乗
・デジタル化には隔世の感も
・「オトナのセッティング」とは?

内燃機関に別れ 新時代ロータス

photo:Lotus Cars

2021年に発表したビジョン80に従い、ロータスは着実に電動化の道を歩んでいる。

同年に発表したエミーラを最後に、ロータスはエンジン車の新規開発を終了。現在は創業80周年を迎える2028年までに「完全なEVメーカー」となることを目指し、次々とEVをリリースしている真っ最中だ。

ロータス・エメヤに欧州試乗
ロータス・エメヤに欧州試乗    ロータス・カーズ

その第1弾はハイパーカーのエヴァイヤで、2023年6月にはSUVのエレトレを発表。続く“ロータスEV”の第3弾としてデビューしたのが、ここで紹介するエメヤである。

エメヤの基本アーキテクチャーはエレトレと同じで、フロア下に102kWhのリチウムイオン・バッテリーを搭載するとともに、前後輪を各1基のモーターで駆動。その出力は、エメヤとエメヤSが612psで、エメヤRのみ918psとされる。

ちなみに、306psに及ぶエメヤRのパワーアップ分は、リアモーターの出力向上によってまかなわれたというから、そのハンドリングは後輪駆動に近い特性と推測される。

なお、航続距離はエメヤが610kmでエメヤSが540km、エメヤRは435kmと発表されている(WLTP)。同じパワートレインを積むエメヤとエメヤSで航続距離に差があるのは、標準装備のタイヤサイズが異なっていることに起因しているのだろう。

いっぽう、エメヤの3グレードはいずれもバッテリーと冷却用ファンを水平に並べること(エレトレはバッテリーの上に冷却ファンが乗ったレイアウト)でフロア高を下げ、全高を低く抑えたという。

エメヤのホイールベースがエレトレよりも50mm長いのは、このためでもある。

デジタルの進化はまさに「飛躍的」

ドイツのミュンヘンからオーストリアのエックという街までを往復する今回の試乗会では、まずエメヤSのステアリングを握った。

ホイールベースが3069mmにもなるエメヤは伸びやかなスタイリングが印象的。いっぽう、ウェッジシェイプのプロポーションと短い前後のオーバーハングはスポーティな走りを予感させる。

ロータス・エメヤに欧州試乗
ロータス・エメヤに欧州試乗    ロータス・カーズ

キャビンを見渡すと、ホワイト基調のインテリアがなんとも現代的でセンスがいい。そしてダッシュボードに固定された15.1インチの大型有機LEDディスプレイが先進的なイメージを打ち出している。

この大型ディスプレイにも表れているとおり、エメヤはデジタル化が著しいのだが、なかでも驚くのは4台のライダーをすでに搭載していること。

これ以外に18台のレーダー、12台のカメラを搭載するとともに、エヌヴィデアのドライブ・オリンというCPUを2基搭載し、計34のセンサーから送られてくるデータを毎秒30回のペースで処理できるというから驚く。

このため、エメヤは技術的にレベル4の自動運転が可能で、もしも法整備が確立された暁には、OTAでその機能をオンにすることができるという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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