リミット1万7000rpm ロータス・エメヤ 600 GT(2) ステアリングがハイライト EV時代のブランド像

公開 : 2025.08.05 19:10

高級ブランドへ生まれ変わるロータス EVの美学を追求したエメヤ 上質素材と製造品質へ驚ける車内 必要なパワーを自在に召喚できる2モーター 直感的で線形的なステアリング UK編集部が試乗

必要なパワーを自在に 強力なブレーキ

バッテリーEVの動力性能が、高速道路で低下するというのは、既に昔のこと。2基の合計で612psを発揮するロータスエメヤ 600 GTの駆動用モーターは、低域トルクが太いだけでなく高回転型。レブリミットは、1万7000rpmに達する。

0-100km/h加速は4.1秒と際立つ数字ではないが、241km/hまでの加速では主なライバルを凌駕。ドイツ・アウトバーンの追い越し車線も、疾走できるはず。ちなみに、そのBMW i7やメルセデスAMG EQSは、1万4000rpmに届かない。

ロータス・エメヤ 600 GT(英国仕様)
ロータス・エメヤ 600 GT(英国仕様)

発進加速は、具合が悪くなるほどではない一方、カーブからの脱出加速は精彩。極めて強力でありながら、スポーツ・モードを選んでも、必要なだけのパワーを自在に召喚できることが強み。航続距離重視のレンジ・モードでも、不自然さは伴わない。

回生ブレーキは、ステアリングホイール裏の左パドルで、細かく強さを選べる。惰性走行は可能だが、ワンペダルドライブにはならない。ブレーキペダルはソリッドな踏み心地で、制動力は感心するほど強力。徐行時は、効きが唐突過ぎるかもしれないが。

直感的で線形的なステアリング

操縦性は、確かにかつてのロータスとは一線を画す。英国へセルの技術者の関与も、限定的だったようだ。とはいえ、電動のスーパーサルーンと呼べる能力が備わる。

ハイライトはステアリング。ポルシェタイカンに並ぶ、フィーリングを実現している。反応は、直感的で線形的。丁度良い重み付けで、一体感を醸し出している。シャシーの負荷状態によって重さが変化し、センタリング性も自然だ。

ロータス・エメヤ 600 GT(英国仕様)
ロータス・エメヤ 600 GT(英国仕様)

コーナリングスピードは、車重を忘れさせるほど。ボディロールを僅かに伴い、ある程度の荷重移動を許しつつ、エアサスペンションは姿勢を安定。カーブの入口でアクセルペダルを一気に緩めると、ホットハッチのように鋭く内側へ食い込んでいく。

右足を再び倒すと、僅かにリアタイヤ主導でトルクが展開。外へ膨らむことなく、旋回していく。ただし、ESCをオフにしても安定志向。スポーツ・モードでは、サスペンションが引き締まるものの、シャシーが目立って変化するわけではない。

スーパーサルーンとして快適な乗り心地

乗り心地は、昔のロータスのように、アスファルトと息を合わせる柔軟性は備わらなくても、グレートブリテン島の環境にも巧みに対応。突出したタイカンへ届かないものの、充分に快適といえる。凹凸の目立つ路面では、重さを感じさせる場面もあるが。

現在は四輪駆動のみながら、後輪駆動も将来的に追加される可能性はある。車重は軽くなり、恐らく最も好バランスの操縦性を持つエメヤとなるはず。

ロータス・エメヤ 600 GT(英国仕様)
ロータス・エメヤ 600 GT(英国仕様)

運転支援システムは、アダプティブ・クルーズコントロールは実用できる精度。先行車両への追従性は、もう少し滑らかでも良いだろう。片側一車線の道路では、対向車へ反応しブレーキが掛かる場面もあった。

車線維持支援や制限速度認識、ドライバー監視といった機能は、反応がやや過敏に思えた。タッチモニター上のショートカットで、不要なら簡単にオフにできるが。高度な支援を実現するLiDAR(ライダー)は、4250ポンド(約83万円)のオプションになる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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