モデルチェンジ級の「新顔」! ルノー・キャプチャー E-テックへ試乗 優れた操縦性と価格価値

公開 : 2024.08.20 19:05

少し狭めの車内 市街地で扱いやすいE-テック

前席側の空間は、このクラスでは狭め。望ましい運転姿勢に落ち着けるが、試乗車にはサンルーフが装備され、上下方向がやや限定的だった。シートポジションをもう少し下げられれば、身長が180cmを少し超える筆者でも快適に座れるだろう。

後席側は、平均的な大人なら問題なし。16cmもスライドできるとはいえ、1番後方にしても広々という感じはない。ちなみに高さ方向は、キャプチャーが920mmなのに対し、フォルクスワーゲン・ポロは950mmある。

ルノー・キャプチャー E-テック・テクノ(英国仕様)
ルノー・キャプチャー E-テック・テクノ(英国仕様)

小物入れなどは充実。ダッシュボードから突き出たセンターコンソールは、複層になっていて便利。荷室は、リアシートの位置で484Lから616Lへ変化する。背もたれを倒せば1275Lを得られる。

さて、英国仕様のパワートレインは2種類。91psの1.0L 3気筒ターボと、147psの1.6L 4気筒ハイブリッド、E-テックで構成される。燃費は、前者で17.1km/L。試乗した後者では21.3km/Lが主張されるが、今回の平均値は22.3km/Lでカタログ値を上回った。

反応が素早いE-テックは、市街地で扱いやすい。48psを発揮する駆動用モーターが、発進停止の多い環境で効果を発揮する。流れの速い郊外の一般道でも同様だ。

ただし、アクセルペダルを深めに踏み込むと、4気筒エンジンのノイズが目立ちだす。登り坂ではシフトダウンし、高めの回転域が保たれる様子。駆動用モーターと内燃エンジンとの協調性は、もう少し磨けるだろう。

高速道路の追い越しでは、キックダウンが遅れ気味。変速後は、不満ないほどの加速を披露する。

自然で直感的な操縦性 優れた価格競争力を維持

操縦性は、クロスオーバーとしては自然で直感的。ステアリング系も再調整され、軽くクイック過ぎない反応で、車線の中央を維持しやすい。高速域ではもう少し重さが欲しいとはいえ、狙い通り導ける。

サスペンションは、適度にスポーティ。姿勢制御に優れ、ボディロールは感じるものの、安定したコーナリングを支えている。スタビリティ・コントロールなどは、上品に介入してくれる。

ルノー・キャプチャー E-テック・テクノ(英国仕様)
ルノー・キャプチャー E-テック・テクノ(英国仕様)

今回のフェイスリフトで、乗り心地は若干引き締まった。垂直方向の安定性は良好ながら、路面のツギハギの多い市街地や、高速道路の凹凸が目立つ区間では、落ち着きが乱れがちだった。ただし、不快なほどではない。

乗り心地を考えれば、エスプリ・アルピーヌが履く19インチ・ホイールは避けた方が良いかも。テクノ・グレードは18インチだ。

操舵感とシャシーの反応が一致した、運転のしやすさは明確な強み。ドライバーを惹き込むような、楽しさまでは備わらないとしても。

人気モデルとして、堅実な改良を受けた2代目キャプチャー。完成度は一層高まったといえる。モダンな見た目だけでなく、新しい車載技術も獲得し、価格競争力はしっかり強化された。

ハイブリッドのE-テックは、パワーと燃費に優れ、乗り心地も快適と呼べる。全般的に運転もしやすい。加速時や坂道での、ATの振る舞いに改善の余地はあるけれど。

このクラスの競争は熱いが、実用的な小型クロスオーバーを検討する人へ、充分な訴求力は備わる。筆者は、ミドルグレードのテクノを推したい。

◯:一新されたインテリアと車載技術 直感的でシャープな操縦性 優れる価格価値とスタイリング
△:坂道や高速道路で若干もたつくAT 狭めの車内空間

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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