【制限速度は350km/h!】マクラーレン史上最速モデルW1が日本初お披露目!

公開 : 2024.11.13 20:25

マクラーレン・オートモーティブは、東京都内でスーパースポーツモデル、『マクラーレンW1』をメディア向けに初お披露目しました。実車を見てきた編集長ヒライが、その印象をレポートします。

F1、P1の系譜を受け継ぐモデル

11月13日、マクラーレン・オートモーティブは、東京都内でスーパースポーツモデル、『マクラーレンW1』をメディア向けに初お披露目した。

W1のWはワールチャンピオンシップに由来し、F1における8回のコンストラクターズタイトル、12回のドライバータイトル獲得を讃えている。もちろん、1993年の『マクラーレンF1』、2013年の『マクラーレンP1』の系譜となり、このモデルがいかに特別かを物語っている。

11月13日、マクラーレン・オートモーティブは、『マクラーレンW1』をメディア向けに初お披露目。
11月13日、マクラーレン・オートモーティブは、『マクラーレンW1』をメディア向けに初お披露目。    平井大介

そのモデルプロフィールはなかなかにエキサイティングだ。わかりやすい部分でいえば、新開発のMHP-8型4LV8ツインスクロールターボ(928ps)+モーター(Eモジュール/347ps)によるハイブリッドパワートレインが、トータル1275psの最高出力を誇ること。カーボンモノコックを基本とした『エアロセル』と呼ばれるシャシー回りが徹底的に軽量化され、乾燥重量が1399kgにすぎないこと。エアロダイナミクスやサスペンションセッティングを追求した結果、フロントを駆動させなくても十分なトラクションを確保するRWDとしたこと、などとなる。

この日は、アジア太平洋地域ディレクターのシャーロット・ディクソン氏、本国イギリスの最高デザイン責任者(CDO)トビアス・シュールマン氏、プロダクトマネージャーのヘザー・フィッチ氏も来日しW1についてコメントしたが、その熱量が半端なく、このモデルが単なるフラッグシップという言葉で表せない何かを背負っていることを感じさせた。特にフィッチ氏は、『あらゆる場所での圧倒的なパフォーマンス』、『圧倒的な最高出力』、『ドライバーとの一体感を最大化』、『ドラマチック』という4つのキーワードで、W1について詳しく語ってくれた。

マクラーレンらしさを感じたレースモード

プレスリリース内でも自らを『レース企業』と表現するマクラーレンらしさを感じたのが、レースモードだ。車高がフロントで37mm、リアで17mmそれぞれダウン。可動式のフロントおよびリアウイングが展開し、特に後者は『マクラーレン・アクティブ・ロングテール』と呼ばれ、後方に300mm伸びるもの。これによって最大1000kgのダウンフォースを実現している。『ロングテール』はマクラーレンF1の時代から使われるキーワードで、使い方が上手だなぁと思う。

その結果、0-300km/h加速で『スピードテール』を上まわる12.7秒未満とし、マクラーレンが基準とするナルド・サーキットでのラップタイムを『セナ』より3秒短縮。最高速は350km/hで電子的に制限と、まさに史上最速のマクラーレンといえる内容となっているのだ。

ドアを上側に開くタイプに変更したのは、ここにあるドアヒンジを移動して、空気の通り道を確保するため。
ドアを上側に開くタイプに変更したのは、ここにあるドアヒンジを移動して、空気の通り道を確保するため。    平井大介

会場で実際にみたW1の第一印象は、「いかにもレース企業らしい作りだなぁ」というもの。ところによりカーボンが剥き出しになっているボディは、その全てがエアロダイナミクスに直結していると容易に想像できる。

今回はアンヘドラルドアと呼ばれる、前側ではなく上側に開くガルウイングタイプのドアを採用しているのだが、その主たる理由が、ドアヒンジの位置を移動することにより、Aピラー付け根の部分に空気を流すためだというから驚かされる。その付近の造形自体には機能美があり、マクラーレンの矜持を感じさせた。

ほかにもシートがシャシーに固定され、ペダル側でポジションを調整することなど、書き始めればトピックが多すぎて本稿にはとうてい収まりそうもない。なにせ、『世界史上初の12項目、マクラーレン史上初の45項目の進化』となっているのだ。もちろんその多くは、今後、市販モデルたちに反映されていくことだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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