進化したトヨタGRヤリス 6気筒のポルシェ718ケイマン 英編集部の2024年に「1番好き」な1台!(1)

公開 : 2024.12.26 19:05

ポルシェ718ケイマン GTS

サム・フィリップス(Sam Phillips)

実は、自分は2024年までポルシェ718ケイマンには試乗したことがなかった。これまで乗れていたのは、718ボクスター。エンジンは、余り感動を与えない水平対向4気筒ターボで、間違いなく速かったものの、ポルシェの本当の輝きまでは味わえていなかった。

ポルシェ718ケイマン GTS(英国仕様)
ポルシェ718ケイマン GTS(英国仕様)

718ケイマン GTSを経験する前までは、アルピーヌA110が現実的に自分で買える最高のスポーツカーだと考えていたが、1発でそれは吹き飛んだ。グレートブリテン島中部、ミルブルックのテストコースで。

718ケイマン GT4譲りの、自然吸気4.0L水平対向6気筒エンジンは、まさに宝石。まったく別の次元へ引き上げたといえ、没入できる体験を生んでいた。7700rpmまで引っ張った時の、ゾクゾクするサウンドは忘れられない。911 GT3にも負けていない。

握りやすいレザー巻きのステアリングホイールに、スパスパ動くマニュアルのシフトレバー、完璧に近いシートポジション。欠点を探すのが難しいほど、現実的で理想的なスポーツカーだと思う。

ダチア・ダスター 130 TCE 4x4

スティーブ・クロプリー(Steve Cropley)

マクラーレンロールス・ロイスも良いが、3代目のダチア・ダスターはそれ以上に良い。これには、3つの理由がある。

ダチア・ダスター 130 TCE 4x4(英国仕様)
ダチア・ダスター 130 TCE 4x4(英国仕様)

1つ目は、自分はシンプルなクルマが大好きだから。必要なものはすべて揃え、不要なものは一切ないという、ルノー・グループに属するダチアが掲げるクルマ作りの哲学は、筆者へ強く響く。

2つ目は、筆者の家族が2代目ダスターのオーナーだから。新型ではラインナップから消えたディーゼルの四輪駆動だが、燃費が良く気に入っている。

3つ目は決定的。新しいダスターはほぼすべての面で、その2代目ダスターより優れているから。実際に自宅の車庫から連れ出し、発表会の会場で比較したから間違いないだろう。特にオフロード性能は明らかに高い。

4気筒ディーゼルターボを置き換える、3気筒ガソリンターボは、同等のトルク感を得られない。それでも遥かにスムーズに回り、クラッチを巧みに操れば、悪路でも大きな問題はなかった。

3代目ダスターは、ブランドの鍵といえるシンプルさを損なわず、手頃な価格も大幅に上昇させることなく、明確に進化した。よって、2024年の1番としたい。

この続きは、英編集部の2024年に「1番好き」な1台!(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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