進化したトヨタGRヤリス 6気筒のポルシェ718ケイマン 英編集部の2024年に「1番好き」な1台!(1)

公開 : 2024.12.26 19:05

ほぼ毎日のように試乗記をお伝えしているAUTOCAR 英編集部が選ぶ、2024年に乗ったクルマで1番好きな1台とは? ホットハッチにミドシップ・スーパーカー、電動SUVまで多彩な顔ぶれに

アリエル・ノマド 2

マット・プライヤー(Matt Prior)

英国のアリエルは、アトム 4と並んで、新しいノマド 2を2024年に発表した。その完成度は非常に高く、従来のノマドをすっかり時代遅れに感じさせるほど。まるで、太い直径のフレームが採用される以前のマウンテンバイクが、頼りなく見えるように。

アリエル・ノマド 2(英国仕様)
アリエル・ノマド 2(英国仕様)

実は、執筆時の筆者は公道でまだ運転できていない。間もなくお伝えする予定の、英国ドライバーズカー選手権(BBDC)での試乗が、初めてになる。それでも、貸し切った飛行場とサーキットで走らせた限り、オフロード前提のバギーだとは思えなかった。

以前のノマドも、オンロードでの走りは素晴らしかった。だがノマド 2はそれを凌駕。ストロークの長いサスペンションはしなやかに上下へ動き、加減速時はボディが前後左右へ傾く。しかし、それが自ずと適切な速度を選ばせ、意のままの運転へ繋がる。

コクピットも文句なし。もっとも、内装と呼べるものはないけれど。運転姿勢は自然で、メーターは一層確認しやすい。細部まで美しくデザインされ、丁寧に仕上げられている。

飛行場で運転した時は、三角コーンが並べられていて、スラロームとドーナツターンを試せた。俊敏に身をこなすノマド 2の感覚は、今でも鮮明に身体へ残っている。もうすぐ2024年も終わるが、きっと公道でも筆者を魅了してくれるに違いない。

トヨタGRヤリス(フェイスリフト後)

ジェームス・アトウッド(James Attwood)

運転を存分に楽しむのに、必要以上に速く走らせる必要はない。それを再確認させてくれたのが、フェイスリフトを受けたトヨタGRヤリスだった。

トヨタGRヤリス(フェイスリフト後/欧州仕様)
トヨタGRヤリス(フェイスリフト後/欧州仕様)

筆者が試乗した場所は、北欧フィンランドの凍結した湖に用意されたテストコース。使ったのは1速と2速だけ。それでも、2024年で1番笑顔になれたモデルだった。

フィンランドはラリーの本場の1つ。トヨタは、世界ラリー選手権(WRC)チームの本拠地を、その国に構えている。ヤリスの高性能仕様の開発にも、理想的な場所といえる。

豪快な加速や、高速コーナーでの安定性を確かめるなら、乾燥したサーキットの方が適切だろう。だが柔軟な足の動きや、繊細な操縦性、落ち着きを確かめるのに、氷上は悪くない場所になった。

この時は、ラリードライバーのヤリ・マティ・ラトバラ氏の助手席にも座れた。もちろん彼の運転技術は、筆者の遥か上にあった。

たとえツルツルな路面でも、GRヤリスは息が詰まるほどの高速で走れることが証明された。それが、本当に楽しい時間だったかどうかは、また別のことだけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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