「まじめ」な雰囲気が好印象 スズキ・ビターラ(エスクード) MHVへ英国試乗 操縦性は競合以上

公開 : 2025.01.18 19:05

S-クロスと姉妹関係のエスクード 初代へ通じるスタイリング コスト重視な内装 頼もしい動力性能に競合以上の操縦性 旧世代感は拭えないものの、実直さが好印象だと英編集部は評価

S-クロスと同じプラットフォームにハイブリッド

自動車の分野では、英国は把握の難しい市場だといわれている。四輪駆動に対する信者は少なくない。実際のグレートブリテン島は、1年の3分の2は二輪駆動でも困らない土地だとしても。

大多数のメーカーは、出番の少ない四輪駆動を積極的には用意しない。英国人も、軽量でシンプルな前輪駆動を選ぶ人は多い。とはいえ、四輪駆動の技術で定評のあるスズキらしく、ビターラ(エスクード)には、ちゃんとオールグリップが設定されている。

スズキ・ビターラ(エスクード)1.4ブースタージェットMHV ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)
スズキ・ビターラ(エスクード)1.4ブースタージェットMHV ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)

現行のエスクードは、2015年に発売された2代目。ダチア・ダスターやフォード・プーマ、オペルモッカといった欧州のライバルと、10年目も対峙することになる。

プラットフォームは、2013年にリリースされた2代目スズキS-クロスと共有。姉妹車の関係にあるが、微妙に差別化されている。どちらかといえば、エスクードの方が都市より自然との距離が近い。

超高強度鋼を多用し、車重を増やさず先代からボディ剛性は向上。ロワアームやサブフレーム、ストラットなども強化されている。

パワートレインは、1.4Lターボのマイルド・ハイブリッドか、1.5Lフル・ハイブリッドの2択。トランスミッションは、前者がマニュアルで、後者にはセミ・オートマティックが組まれる。どちらも、前輪駆動か四輪駆動を指定できる。

今回試乗した、マイルド・ハイブリッドの最高出力は128ps。0-100km/h加速は10.2秒が主張される。フル・ハイブリッドは115psで、加速力は若干劣る。

初代へ通じるスタイリング コスト重視な内装

スタイリングは、曲線が多用されたS-クロスと対照的。1988年発売の初代へ通じる、直線基調となっている。ホイールアーチとタイヤの隙間は大きく、サイドウインドウの下を横切る折り目が特徴といえる。

ヘッドライトの形状やクラムシェル状のボンネット、フロントフェンダー上部のトリムなども、初代に通じるデザイン。多くのライバルより、親しみやすい見た目だろう。

スズキ・ビターラ(エスクード)1.4ブースタージェットMHV ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)
スズキ・ビターラ(エスクード)1.4ブースタージェットMHV ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)

英国へ導入された当初は、個性的なツートーン塗装を選べたが、最近はブラックのルーフが設定される程度。欧州市場ではジムニーが売られていないから、華やかなコーディネートが用意されても良い。

2025年仕様としてフェイスリフトを受け、ラジエターグリルとフロントバンパーのデザインを一新。空力性能を向上させる、ルーフスポイラーも備わる。

インテリアでは、スマートフォンとの連携にワイヤレスで対応した、9.0インチ・タッチモニターによるインフォテインメントを採用。反応は遅めで、メニュー構造は複雑だが、ショートカットが用意され必要な項目は探しやすい。

内装の素材は、ベーシックでコスト重視。高級感を求めて、スズキを選ぶ人は限られるかもしれないが。

乗員空間は、このクラスの平均より狭め。背が伸びたティーンネイジャーには、リアシートはやや窮屈かもしれない。試乗車は上位グレードのウルトラで、パノラミック・ガラスフーフが組まれ、頭上空間を圧迫していた。

荷室容量は375L。平均的な容量ながら、広い方が嬉しいことは事実だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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