繊細バランスの『ディーノ246 GTS』、悪魔的魅力の『F355 GTS』 成功を導いたベビー・フェラーリたち(2)

公開 : 2026.03.28 17:50

V6エンジン開発の中心にいた、アルフレード氏と、ピニンファリーナのアイデアを好意的に受け止めた、エンツォ氏。成功を導いた金字塔的ベビー・フェラーリ2台を、UK編集部が振り返ります。

V12へ劣らない迫力の2.4L V6エンジン

ディーノ246 GTでは、ホイールベースが206から60mm伸び、チューブラーシャシーへ溶接されるボディシェルはスチール製に。エンジンブロックもスチール製になりつつ、最高出力は194psへ強化。ホイールは、センターロックからボルト5本へ変更されている。

1970年にMシリーズへ改良され、フィアット由来の部品を採用。1971年にはEシリーズとなり、ボンネット以外のボディパネルもスチール製へ。1974年までに3661台が提供され、その内の1274台は、北米を見据えたオープントップのGTSが占めた。

スカイ・ブルーのディーノ246 GTSと、イエローのフェラーリF355 GTS
スカイ・ブルーのディーノ246 GTSと、イエローのフェラーリF355 GTS    マックス・エドレストン(Max Edleston)

アズーロが眩しい246 GTSの、可憐なシートへ身体を収める。メーターパネルは、プロトタイプ・レーサーのように卵型。ステアリングホイールが、丁度良い位置へ伸びる。キーを捻り、3連キャブレターへガソリンが噴霧され、2.4LのV6エンジンが目覚める。

アイドリングは重厚だが、ボリュームは控えめ。アクセルペダルを煽ると、V12エンジンへ劣らない迫力を伴う。ドアがカチッと締まるソリッドなボディは、吹かしてもまったく身震いしない。エアコンの動作音が、うっすら聞こえる。

お尻越しに実感できる繊細なバランス

今回の車両はレストアされ、デイトナ風シートのレザーは柔らかい。公道を流す速度域では、ステアリングは望ましい重さ。入力へ忠実にボディが反応する。V6ディーノ・ユニットはトルクフルで、テノールの美声を響かせながら回転数は上昇していく。

高域では、4本のカムの唸りが緊迫感を増長する。1速が左下のドッグレッグ・パターンで、2速と3速を活用すれば夢心地。エンジンは粘り強く、高いギアでも扱いやすい。

ディーノ246 GTS(1969~1974年/英国仕様)
ディーノ246 GTS(1969~1974年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

クロモドラ社製グネシウムホイールを巻く、ミシュランXWXタイヤへ負荷をかけつつ、長く続く高速コーナーで右足を倒す。お尻越しに、繊細なバランスを実感できる。柔軟なサスペンションで、基本的にはニュートラルな特性にある。

スプリングが柔らかく、活発に扱うとテールは横方向へ流れがち。速度域が高まると、フロントタイヤの感触が薄くなる。優しい乗り心地や、スポイラーをまとわないスリークなスタイリングとの、引き換えといえる制限だろう。

運転体験に見え隠れするディーノの特徴

フェラーリF355は、比較すれば246 GTSより遥かにパワフル。それでいて、繊細で柔軟でもある。路上での運転体験には、ディーノの特徴が見え隠れする。ノーズが低く、ショルダーが丸いスタイリングにも、その精神は表れている。

サイドには、鋭角的なエアインテーク。局面的なリアガラスを、左右のバットレスが結ぶ。円形4灯のテールライトが、ダックテールに並ぶ。バンパーは1990年代らしいが、後継としてのDNAも宿す。リトラクタブル・ライトの採用は、これが最後だった。

フェラーリF355 GTS(1994~1999年/英国仕様)
フェラーリF355 GTS(1994~1999年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

全幅は200mm広く、ホイールベースは90mm長い。クッションの良いシートは、比較すれば地面から遠い。ダッシュボードには、レザーとプラスティックが入り交じる。職人の手仕事というより、確かに量産車風。デザインには、やや統一感が欠けている。

トルクの太いスターターモーターが回り、燃料インジェクションが正確にガソリンを噴霧し、3498ccのV8エンジンは即座に始動。1000rpmでアイドリングを始める。4本出しのテールパイプは、右足を傾ける度に震え、エッジの聞いたノイズを放つ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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