遂に電動のスズキ登場 eビターラ(エスクード)へUK試乗 トヨタ・アーバンクルーザーの兄弟 競合より活発

公開 : 2025.04.17 19:05

直近のどんなスズキ車にも似ないeビターラ 広い車内に新しいタッチモニター 競合より活発な走り トヨタ風味が滲む線形的で直感的な反応 価格次第で魅力的な選択肢に UK編集部が評価

直近のどんなスズキ車にも似ないeビターラ

欧州が施行する環境規制によって、巨大な影響を受けた自動車メーカーの1つがスズキだ。走行中のCO2排出量を厳しく制限する規則は、複数モデルの販売停止へ追い込んだ。基準を上回るCO2を排出すると、反則金が課せられるためだ。

車重1.0tを切り、実燃費が21.0km/Lを超えるスイフトより、3.0tある電動SUVの方が環境負荷は本当に小さいのだろうか。疑問を抱いてしまう。

スズキeビターラ 61kWh ウルトラ(英国仕様)
スズキeビターラ 61kWh ウルトラ(英国仕様)

しかし、スズキは諦めない。バッテリーEVのeビターラ(旧エスクード)が、欧州市場にもやってきた。

開発時間と費用を抑えるため、プラットフォームはエンジンで走る既存モデルの大改良版。スタイリングは、直近のどんなスズキ車にも似ていない。全長は4275mmで、ビターラより90mm長い。全幅は1800mmで、25mm広い。

フロア部分に敷かれる駆動用バッテリーは、49kWhか61kWhの2種類から容量を選択可能。実用量は未発表だが、LFPセルということで、大きく目減りすることはないだろう。60kWh程度と予想する。

駆動用モーターは、49kWhには144psのユニットが、61kWhには174psのユニットが組まれる。基本的に前輪駆動だが、後者ではリアアクスルにも65psのモーターを追加でき、システム総合183psの四輪駆動も選べる。

航続距離は、49kWhで344km。英国で主力になるであろう61kWhでは、428kmが主張される。大きさの近いルノーメガーヌ E-テック・エレクトリックは、453kmだ。

広い車内に新しいタッチモニター 荷室は狭め

既存のプラットフォームを流用していながら、車内空間は意外なほど広い。運転姿勢は自然で、シートの調整域もかなり広い。後席側の膝前空間も、フロアが高くやや不自然な格好になるが、専用プラットフォームを採用するライバルと遜色ない。

荷室は244Lと狭め。後席は前方へスライド可能で、310Lへ広げられるが。

スズキeビターラ 61kWh ウルトラ(英国仕様)
スズキeビターラ 61kWh ウルトラ(英国仕様)

内装は高級ではないものの、ベーシックなクルマとして納得の水準。グレードによっては華やかなカラートリムを選択でき、ソフトタッチ加工されたエリアも小さくない。デザイン自体に、特徴は薄いとしても。グロスブラックのパネルの面積は、少し広すぎる。

ドアポケットは大きく、カップホルダーも各所にあり、センターコンソールの下側にも収納がある。スマートフォン充電パッドも標準とのこと。反面、ダッシュボードからは、実際に押せるハードスイッチが大幅に削られた。

インフォテインメント・システムは新開発で、グラフィックが美しく、メニュー構造は理解しやすい。ただし、動作は遅い。車線維持支援システムやシートヒーターの操作は、タッチモニターを介することになる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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