ケータハム似の2座ロードスター GBSゼロへ試乗 600kgが生む鋭さ 素直で精緻な操縦性

公開 : 2025.02.11 19:05

セブンへ強い影響を受けたGBSゼロ スロットルボディからダンパーまで自社製造 ケータハムよりひと回り大きいシャシー 213psの鋭い動力性能 素直で高精度な操縦性 英編集部が評価

スロットルボディからダンパーまで自社製造

オリジナルのロータス・セブンを、最初に真似たのはウェストフィールド。ケータハムとの訴訟を受け、見た目へ少し手を加えて販売してきた。それ以来、セブンへ強い影響を受けたモデルは、同じようなアプローチを取っている。

グレート・ブリティッシュ・スポーツカーズの略となるGBSも、セブンに似たモデルを提供している。見間違える人はいるかもしれないが、詳しい読者なら、違いへ気付けるだろう。

GBSゼロ(英国仕様)
GBSゼロ(英国仕様)

ゼロは、フロントエンジン・リアドライブの2シーター・ロードスターだ。AUTOCARでは、約10年前にもゼロへ乗っているが、これは第2世代に当たるという。

同社のディレクター、リチャード・ホール氏は、「毎年5%の改善を目指しています。コスト削減や軽量化など、立ち止まることはありません」。と説明する。

特徴といえるのが、少量生産メーカーでありながら、可能な限り自社でコンポーネントを開発・製造していること。ゼロを構成する約80%のアイテムは、グレートブリテン島中部、ノッティンガムシャー州の工場で作られているそうだ。

今回の試乗では、本社にもお邪魔させていただいたが、本質的にはエンジニアリング企業といった印象を受けた。スロットルボディからラジエーター、ブレーキディスクとキャリパー、ダンパーまで、自社製となる。

これらは、英国ではATRのブランド名で市販もされている。マツダMX-5(ロードスター)をチューニングするBBR社も、ATRのスロットルボディをエンジンへ組んでいる。複合素材の技術力を頼る、レストモッド・ガレージも多い。

ケータハムよりひと回り大きいシャシー

ゼロが基礎骨格とするのは、シンプルなスチール製シャシー。ケータハムのそれより若干大きく、足元の空間は明らかに広い。ワイドシャシーもオプションで用意されているが、指定する人は限られるようだ。

ボディパネルはアルミニウム製で、そのシャシーへ接着されている。セブンへ影響を受けたモデルとしては、最もシャシー剛性は高いとホールは自負する。車重は約600kg。前後の重量配分は、ほぼ半々だという。

GBSゼロ(英国仕様)
GBSゼロ(英国仕様)

完成車だけでなく、半完成状態のキットでの購入も可能。こちらなら、輸出にも対応している。北米では、組み上がった状態のゼロは販売できないものの、キットなら許可されているとのこと。

エンジンは、2.5L 4気筒のフォード・デュラテック。標準では213psと27.0kg-mを発揮する。オイルパンのサイズを小さくし、専用スロットルボディやステンレス製マフラー、軽量フライホイールが組まれている。プーリーは、アルミ削り出しのビレットだ。

トランスミッションは、MX-5譲りの5速マニュアル。同社に限らず、マツダへ感謝する小規模メーカーは少なくない。

英国価格は、4万1861ポンド(約816万円)から。ロールケージやパワーアップ、リミテッドスリップ・デフ、ボディ塗装やインテリアなどのオプションも用意されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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