【どうなる欧州EV市場】このまま失速?日本は補助金5万円アップで普及進むか

公開 : 2025.02.03 07:05

日本EV市場への影響は?

そうした中、欧州連合の執務機関である欧州委員会が2019年から欧州グリーンディール政策を推進し、EV普及拡大を狙った。これは環境政策であると同時に、欧州でのEV関連投資を呼び込む政治的な意味合いも強い。

ここに中国が絡む。周知の通り、ドイツは中国と自動車産業での繋がりがとても強く、EV投資についても欧中の関係は深まった。そこにアメリカが割って入った。事実上の対中政策であるIRA(インフレ抑制法)によって、EV等電動車製造の投資をアメリカに向けたのだ。

日本でのEV普及率は2%弱。インド生産のスズキeビターラの日本導入も予定されるが……。
日本でのEV普及率は2%弱。インド生産のスズキeビターラの日本導入も予定されるが……。    スズキ

こうして、『米中対立の狭間に欧州』というEVを含めた環境に係る環境政策の図式となり、その中で投資家の動きが変化していったと言える。

そんな国際情勢の中、日本は米中欧の出方を見ながら、身の振り方を考えているといったところだ。日本でのEV普及率は、2%弱にとどまる。政府としては『さらなる呼び水』が必要だと判断して、国の購入補助金をこれまでより5万円増額することを決めた。

一方で、2026年度からを目処に車体課税の抜本的な見直しを図る。これによりEVにかかる税金や各種補助金のあり方が代わる可能性が高い。

日本自動車工業会から政府への要望としては、所得時は環境性能割を廃止して消費税に1本化、また所有時にかかる自動車税(軽自動車税)と重量税を一体化する『新税』の創設を目指すとしている。『新税』のベースは重量となり、ガソリン車やハイブリッド車に比べて車重が重いEVについて『環境性能に応じた係数』などを導入する方向で調整に入っているようだ。米中欧の政治的な関係性とは別に、日本ではユーザー目線でのEV普及が進むことを願いたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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