初代NAを電動化 エレクトロジェニックMX-5(ロードスター)へ試乗 お金持ちのおもちゃ?

公開 : 2025.03.10 19:05

見た目や操縦性はそのまま、電動パワートレインへ置換されたロードスター 0-100km/h加速は6.0秒 路面のうねりへ息を合わせるように追従 美しいと表現したい回頭性 英編集部が評価

見た目や操縦性はそのまま でも本当に速い

「トルクフルな初代MX-5(ロードスター)ってどんな感じ?」。同僚が、冗談交じりに聞いてくる。

グレートブリテン島中南部、オックスフォードシャー州に拠点を置くエレクトロジェニック社は、その名の通り、クラシックカーの電動化を得意とする技術企業。優秀なスタッフによって、初代のNA型ロードスターを電動化するキットが開発された。

エレクトロジェニック・マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)
エレクトロジェニック・マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)

4気筒エンジンは、電気モーターへ置換。最高出力は162psだが、最大トルクは31.6kg-mもある。駆動用バッテリーの容量は、42kWh。5速MTは、1速リダクションへ交換される。

本来のロードスターのように操縦でき、乗り心地も良い。しかし、本当に速い。0-100km/h加速は6.0秒。特に発進直後から50km/hまでは凄まじい。その体験は、オリジナルのそれとはまるで異なる。5500rpmまで引っ張る必要はない。

ライバルを考えると、MGサイバースターが電動の2シーター・ロードスターという点で合致する。ホンダS2000は、クラシック・ジャパニーズとして合致するだろう。価格は抜きにして。

完璧にもとへ戻せるよう、キットは仕上げられている。ボディシェルへ穴を開ける必要はなく、英国では従来のナンバープレートも維持できる。車検証は、パワートレインの項目が、電動となることくらい。

キットはマツダでもミアータでも、1989年から1997年式までのNA型ロードスターに対応し、外観はオリジナルのまま。充電ポートは、従来の給油口に仕込まれる。作業は1週間で完了するそうだ。

運転へ集中できるタイトなコクピット

車内にシフトレバーは残るが、実際は1速ATのセレクター。前へ倒すとD、引くとRに入る。燃料計は、バッテリーの残量計。グローブボックスの内側には、より正確なバッテリー・メーターが隠れている。

スピードメーターは従来どおり。クラシカルに、針がガクガクと動くのがうれしい。タコメーターは、見た目を変えることなく、走行時の放電/充電状態が表示される。

エレクトロジェニック・マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)
エレクトロジェニック・マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)

ドライバーの足もと正面には、ペダル。ステアリングホイールも、ど真正面。着座位置は低く、運転へ集中するのに邪魔するものがない、タイトなコクピットが心地良い。ハンドブレーキも、1990年代らしくレバーで操作する。

ドライブモードは、エコ、ノーマル、スポーツの3段階が実装される。使用機会が減ったという理由で、コインホルダーは省かれているが。駆動用バッテリーはボンネット内と、燃料タンクのあった場所へ、分散され積まれている。荷室が削られたりはしていない。

試乗車は、顧客へ納車予定の第1号とのこと。ステアリングホイールとシフトノブは、1990年代らしいナルディ社製が組まれていた。

注文した人物は、ロンドン在住。スピードリミッターの追加を希望されたそうで、センターコンソール部分に時速20マイル(約32km/h)と30マイル(約48km/h)、オフから選べるようになっていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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