有能ぶりが一層際立つMT ポルシェ911 カレラT カブリオレへ試乗 7速から最上段を省略

公開 : 2025.03.07 19:05

動的な能力の高さが一層際立つ 滅法楽しい

シフトレバーの感触自体は、過去ベストではないものの、ゴムのような手応えを伴うBMW Z4より遥かにスムーズ。ダイレクトで、正確にゲートを選べる。シフトノブはボール状に削り出されたウッド。カレラGTのそれと、イメージが重なる。

クラッチペダルは重めだが、ミートポイントを把握しやすい。変速が気持ちイイ。

ポルシェ911 カレラT カブリオレ(992.2型/英国仕様)
ポルシェ911 カレラT カブリオレ(992.2型/英国仕様)

自らギアを選ぶという行為が、動的な能力の高さを一層際立たせる。シフトレバーを最適なゲートへ傾けつつ、ヒール&トウでパワーをタイヤへ伝えれば、コーナーはひときわ楽しいステージになる。公道の速度域でも、エキサイティングだ。

今回試乗した、カレラTはカブリオレ。コンバーチブルにつきものの、ボディ剛性の低下は最小限に留められていた。ソフトトップは短時間で開閉でき、ウインドウディフレクターを立ち上げれば、走行中の乱気流と無縁でいられる。

確かにクーペと乗り比べれば、車重の増加は感じ取れるだろう。それでも、MTの911として運転へ惹き込まれる。

残りの部分は、爽快な体験を引き立てる脇役だろう。タータンチェックのシートは魅力的。サスペンションは少し硬すぎるかもしれない。後輪操舵システムは、必要ないかもしれない。高速道路でのロードノイズは大きすぎる。防音材は、戻してもいいだろう。

とはいえ、整ったスタイリングに好バランスのシャシー、素敵な仕立てのインテリア、インタラクティブなフラット6エンジンと6速MTを得ている。重箱の隅をつつくことは、できなくはない。それでも、滅法楽しい911であることは間違いない。

ポルシェ911 カレラT カブリオレ(992.2型/英国仕様)のスペック

英国価格:12万1300ポンド(約2365万円)
全長:4542mm
全幅:1852mm
全高:1292mm
最高速度:292km/h
0-100km/h加速:4.7秒
燃費:9.3km/L
CO2排出量:244g/km
車両重量:1580kg
パワートレイン:水平対向6気筒2981cc ツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:394ps/6500rpm
最大トルク:45.8kg-m/2000-5000rpm
ギアボックス:6速マニュアル(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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