弱点許す「広い心」も必要 TVRサーブラウ UK版中古車ガイド(2) エッジ効いたサウンドとスピード

公開 : 2025.03.30 17:46  更新 : 2025.04.14 09:39

独自V8エンジンでスーパーカー級に速い、2+2ボディのサーブラウ エッジの効いたサウンドとスピード パワフルなFRを電子アシストなしで運転する興奮 英編集部が長短を振り返る

生産を重ねる毎に洗練度を高めたAJP8ユニット

TVRサーブラウに載る、新開発されたV型8気筒・自然吸気エンジン、AJP8ユニットは、初期型では不具合が少々多かった。だが、生産を重ねる毎に洗練度を高め、信頼性は増している。

直列6気筒の「スピードシックス」ユニットでもAJP8のV8でも、多くが現在までにリビルドを受けているはず。信頼できる専門ショップのスタッフの手で組まれていれば、当初より寿命は遥かに長くなるだろう。

TVRサーブラウ(1996〜2006年/英国仕様)
TVRサーブラウ(1996〜2006年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

前期の4.2L V8エンジンでは、メインベアリングが後期の4.5L用の大型アイテムへ交換
してある場合がある。ところが、それが原因で、クランクシャフトへダメージが生じることもあるという。

スピードシックス・ユニットは、ドライサンプ。始動後にメインベアリングをエンジンオイルが完全に潤滑するまで、ある程度の時間を要する。6気筒では1万9000km毎、8気筒では3万8000km毎に、バルブのシム調整が求められている。

スロットル・ポテンショメーターが不調になると、ガソリンが過剰にシリンダーへ送られ、異常燃焼と触媒の破損を招く。スロットル調整は、プロの技術が必要になる。エンジンが温まった状態で始動しにくい場合は、スターターを高トルク型に交換したい。

エッジの効いたサウンドとスピード

英国を走るサーブラウの多くは、マフラーから触媒が外されている。車検が通らなくなるだけでなく、サーキットの走行会で騒音規制に引っかかることも。別に保管されていることを確かめたい。

スチール製のシャシーは、目視しにくい部分で錆びがち。完全に修理する場合は、ボディを取り外す必要があり、作業は簡単ではない。

TVRサーブラウ(1996〜2006年/英国仕様)
TVRサーブラウ(1996〜2006年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

5速マニュアルのトランスミッションはボルグワーナー社製で、概ね堅牢。変速時にギアの回転数を調整する、シンクロメッシュの劣化に注意したいが、概ね12万km以上は問題なく耐える。

クラッチプレートは、4万km程は使えるはず。クラッチペダルが重すぎるなら、交換が必要。プレッシャーフィンガーが先に折れる場合がある。LSDのデフフルードは、定期的な交換が望ましい。コーナリング時にリアタイヤが滑らかに動くか、確かめたい。

サスペンションは、リアのアンチロールバーから異音が出ないか確認したい。パワーステアリング・フルードの漏れもチェックポイント。

すべてが好調なら、高さの低いフロントガラス越しにFRP製ボンネットを眺めつつ、エッジの効いたサウンドとスピードへ浸る体験は、やみつきになるほど濃厚。即時的なステアリングと圧倒的なパフォーマンスへ、魅了されるに違いない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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