ティグアンとトゥアレグの隙間に 新型フォルクスワーゲン・タイロンへ試乗 ハイブリッドで7シーター

公開 : 2025.03.18 19:05

静かで上質なプラグインHV 優秀な乗り心地

車重が1864kgあるSUVで、203psの最高出力は物足りなく思えるものの、駆動用モーターは出だしから力強い。静かに発進し、途中でエンジンが加勢する。本気を出せば、0-100km/h加速は8.6秒で処理するという。

ちなみに、271psのプラグイン・ハイブリッドなら7.3秒、150psの1.5L 4気筒マイルド・ハイブリッド、1.5 eTSIは9.4秒とのこと。265psの4気筒ガソリンターボ、2.0 TSIは6.1秒へ縮める。

フォルクスワーゲン・タイロン 1.5TSI eハイブリッド204PS(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・タイロン 1.5TSI eハイブリッド204PS(欧州仕様)

ドライブモードがハイブリッドの場合、電気モーターとガソリンエンジンとの協調性は良好。静かで滑らかに、主役が切り替わる。急加速時には、エンジンから少し荒っぽいノイズが響くものの、ディーゼルエンジンより遥かに静か。サンタフェより上質だ。

カーブでは、スロー気味のステアリングは正確に反応するものの、ハイブリッド・システムの重さは隠せない。狙い通りのライン取りは難しくないが、ボディロールは小さくなく、活発とは呼びにくいだろう。

試乗車には、アダプティブシャシー・コントロールが与えられ、非実装のタイロンより乗り心地は明確に優秀だった。柔らかいモードでも、しなやかでありつつ浮遊感は皆無。速度抑止用のスピードバンプや、鋪装の剥がれた穴にも、しっかり対応していた。

風切り音やロードノイズを高度に遮断する、防音ガラスも同じくオプション。これは、RラインかRラインエディションでのみ指定できるそうだ。

好印象な走りが強み 優れた選択肢として歓迎

タイロンの英国価格は、7シーターの1.5 eTSI マッチで3万9850ポンド(約777万円)から。エクストレイルは3万5175ポンド(約686万円)と更にお安いものの、お値打ちなモデルと呼んでいいだろう。

1度の充電で走れる距離は、203psのプラグイン・ハイブリッドで80km前後。かなり有能といえ、平均的な通勤ならガソリンエンジンを回さず対応できるはず。

フォルクスワーゲン・タイロン 1.5TSI eハイブリッド204PS(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・タイロン 1.5TSI eハイブリッド204PS(欧州仕様)

念のため3列シートを希望するものの、実際にはその出番が少ないようなドライバーにとって、タイロンは望ましい1択になるだろう。サンタフェと異なり、プラグイン・ハイブリッドでは、2列シートへ制限されるが。

インテリアの質感は、フォルクスワーゲンとして不足ないものの、競合以上に上質なわけではない。それでも該当クラスの中では、好印象な走りが強みといえる。ファミリーSUVの需要が高止まりする今、優れた選択肢が増えることを歓迎したい。

◯:選択肢の多いパワートレイン プラグイン・ハイブリッドの電気だけで走れる距離 広々とした車内 運転のしやすさ
△:広くはない3列目 プラグイン・ハイブリッドでは2列へ減る 運転が楽しいとはいえない

フォルクスワーゲン・タイロン 1.5TSI eハイブリッド204PS(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万6880ポンド(約914万円)
全長:4770mm
全幅:1849mm
全高:1660mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:8.6秒
燃費:200.0km/L
CO2排出量:12g/km
車両重量:1864kg
パワートレイン:直列4気筒1498cc ターボチャージャー+同期モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:204ps(システム総合)
最大トルク:25.3kg-m/1500rpm
ギアボックス:6速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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