グループで1番売れてるEV フォルクスワーゲンID.4へ試乗 シンプルで親しみやすい運転体験

公開 : 2025.04.11 19:05

充分にパワフルでスムーズ 直感的な操縦性

走りの第一印象は、充分にパワフルでスムーズ。169psのエントリーグレードでも、0-100km/h加速は9.0秒で処理し、迅速とまではいえないものの、市街地で遅さを感じることはない。

英国の場合、主力となるのは286psの駆動用モーターと77kWhのバッテリーが組み合わされた方だろう。こちらは、ゴルフ GTIと同等のダッシュ力を披露する。いずれにしても、駆動用モーターのパワーは調整しやすく、快適な移動を叶えている。

フォルクスワーゲンID.4(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4(英国仕様)

回生ブレーキの効きは、2種類から選択可能。ブレーキペダルを踏まずに済む、ワンペダルドライブには対応していない。

操縦性は非常に直感的。可変レートのステアリングにはダイレクト感があり、軽く操れ正確性が高い。姿勢制御はフラット。調子に乗ってカーブへ突っ込むと、重心位置は低いものの、背の高いボディであることを実感するが。

トラクションに優れ、軽快な身のこなしも叶えている。車重は軽くなく、連続するカーブを活発に走らせると、グリップ力が最終的に追いつかなくなる。それでも、スタビリティ・コントロールが介入する領域は、かなりの速度域に到達してからだ。

シングルモーター版は後輪駆動で、運転する楽しさを特に感じる。これで手のひらへ伝わる情報量が多ければ、魅力的な運転体験になることだろう。

殆どの路面で滑らかな乗り心地 充実装備

小回りは良く利き、最小回転直径はひと回り小さいコンパクトカー並みの10.2m。市街地での取り回しに効果的なだけでなく、機敏な回頭性にも繋がっている。

乗り心地は全体的に滑らか。20インチという大きなアルミホイールを履いていても、殆どの路面を巧みに処理し、落ち着きを失うことはない。ダンパーは通常のパッシブ仕様だが、アダプティブダンパーはオプションで利用可能。予算が許すなら、選びたい。

フォルクスワーゲンID.4(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4(英国仕様)

今回のアップデートでは、そのアダプティブダンパーが組まれるダイナミック・シャシー・コントロールも改良を受けた。ソフトウエアが書き換えられ、センサーが追加され、一層優れた乗り心地が追求されている。

ID.4の英国価格は、約4万ポンド(約780万円)から。ライバルより僅かに安く設定されつつ、シートヒーターにバックカメラ、ワイヤレスでのスマートフォン連携など、装備は充実している。通常の急速充電は、110kWまでだ。

ID.4 プロ・パフォーマンスは約4万5000ポンド(約878万円)へ上昇するが、オートワイパーにパワーテールゲート、LEDマトリックス・ヘッドライト、175kWの高速充電などが盛り込まれる。こちらが、スイートスポットといえるだろう。

現実的な航続距離は、77kWhの後輪駆動で385kmから435kmといったところ。現在のこのクラスのバッテリーEVへ期待される能力といって良い。

見た目通りシンプルで親しみやすい運転体験

見た目通り、シンプルで親しみやすい運転体験を与える、ID.4。日常生活へすんなり馴染むような印象は、多くの人が気に入るものだといえる。優しい乗り心地や、テスラより扱いやすい車内デザインも好ましい。

ドライバーとの一体感は強くないものの、走りには冷淡ではない、特有の個性も感じられる。一貫性の高いレスポンスとパフォーマンスには、フォルクスワーゲンらしい熟成感が滲む。細部にまで拘られた、デザインにも。

フォルクスワーゲンID.4(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4(英国仕様)

◯:実用的な車内 市街地では抜群に扱いやすい 充分に速い
△:航続距離は目立つ数字ではない 薄味な運転体験 実際に押せるハードボタンがもっと欲しい

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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