マクラーレン、新興企業と「衝撃」経営統合 スーパーカー以外にも車種拡大へ CEO独占インタビュー

公開 : 2025.04.08 19:45

幅広い技術利用 新たな製造プロセスも

CYVNホールディングスの投資先には、中国のEVメーカー、ニオ(NIO)もある。コリンズ氏は、フォーセブンとニオの間には「クルマに組み込んだ」技術ライセンスが存在するが、それはクルマのベースとなるアーキテクチャーではなく、特定の「技術の塊」のためのものだと述べた。アーキテクチャーの購入は「自動車プロジェクトの墓場」だからだという。

「わたし達は目標に対して、非常にユニークな方法で(技術を)展開していきます。わたし達の取り組みを加速させるものだと考えてください」

ゴードン・マレー・テクノロジーズの『iStream』
ゴードン・マレー・テクノロジーズの『iStream』

この説明に基づくと、フォーセブンがニオから将来のマクラーレンモデルに採用する可能性がある技術の例として、自動運転機能やEV用のバッテリー交換技術が考えられる。また、アーキテクチャーに関しては、マクラーレンの複合材料に関する経験が生かされる可能性が高い。

CYVNホールディングスは、『iStream』製造プロセスの権利を含むゴードン・マレー・テクノロジーズ(GMT)も買収している。iStreamは従来の製造方法よりもコスト効率が良く、車両の軽量化も実現できる。コリンズ氏は、このiStreamの「スピリット」は将来的に量産車に採用される予定であり、そのために「研究プロジェクトが進行中」であると述べた。

GMTの業務の大部分は車両開発が占めており、同社のエンジニアは、新時代のマクラーレンの開発において主導的な役割を果たすことになるだろう。

コリンズ氏は、他の市場における高級ブランドの進化(例えばルイ・ヴィトンがスニーカーの販売に乗り出すといった動き)を、マクラーレンのような企業が製造・販売できるクルマの種類を広げ、再定義する方法として注目していると述べた。そのため、「当社が手がけるものについて、クルマよりももう少し高級なものを考えようとしている」という。

「わたし達は英国的な遠慮を克服しなければなりません。自動車業界の常識では、今はまだできないと言うかもしれませんが、隣接するセグメントのラグジュアリーの常識では、できると言うでしょう」

「最悪なのは、挑戦しないことです。無謀になったり愚かになったりするつもりはありません。しかし、やり方については少し型破りになることを期待してください」

新しいセグメントへの参入

実際、コリンズ氏は過去の車種の復活さえ視野に入れている可能性を示唆した。同氏は、一見「3ドア車市場は死んだ」ように見えるが、「クルマを正しく作れば、市場を再創造したり生み出したりできる」として、ディフェンダー90を例に挙げた。

「クルマを正しく作れば、市場を揺るがすことになります。なぜなら、他の高級ブランドから顧客を引き抜いたり、どんなことをしてでもそのクルマを手に入れようとする人々を引き上げたりして、それによって成功を収めることができるからです」

具体的な製品計画については追って発表される予定だ。
具体的な製品計画については追って発表される予定だ。

「わたしは、成功は素晴らしい製品から生まれると信じています。素晴らしい製品を持っていなければ、どんな野望を書き留めても実現することはありません」

コリンズ氏は、新生マクラーレンに最先端技術を投入し、ハードウェアやソフトウェアを含め、すべての事業において「重要な役割を果たす」と述べた。

「直接的であれ間接的であれ、テクノロジーは重要な役割を果たします。重量レベルを一定に保つための製造技術(iStream)かもしれません。あるいは、パフォーマンス、静粛性、コネクティビティ、アクティブセーフティを実現する技術かもしれません。人々はパッケージを購入するのです」

「また、これまで参入したことのないセグメントに参入する際、ブランドの優位性は有効だと思います。デザインの優位性もあります。それ以外はすべて、技術によって裏付けられます」

新会社と自動車業界におけるCYVNホールディングスの台頭について、コリンズ氏は「これは虚栄心のためのプロジェクトではありません」と述べた。

「わたしの考えでは、世界一とは言わないまでも、世界で最高の自動車会社の1つになるでしょう。それには長い時間がかかるかもしれませんが、持続可能な収益事業を長期的な視野で考える人々がこのプロジェクトを支援してくれています」

「中には、それはできない、あれは実現不可能だなどと石を投げつける人もいるでしょう。しかし、わたしは本当に英国が誇りに思えるものになってほしいと考えています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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