マクラーレン、新興企業と「衝撃」経営統合 スーパーカー以外にも車種拡大へ CEO独占インタビュー

公開 : 2025.04.08 19:45

経営統合のギモン Q&A(1)

CYVNホールディングスとは?

アブダビ政府の投資部門であり、コリンズ氏によると「先進的なモビリティへの投資を任務とする」という。

2022年にフォーセブンを設立し、それ以来、自動車関連のポートフォリオを拡大している。2023年後半には、中国企業ニオの20%の株式を22億ドル(約3200億円)で取得し、コリンズ氏は株式保有の一環としてニオの取締役会に名を連ねている。

マクラーレン765LT
マクラーレン765LT

2023年にはゴードン・マレー・テクノロジーズを買収し、その一環として、同社の革新的な製造プロセス『iStream』の権利も取得した。

CYVNホールディングスは2024年12月にマクラーレン・オートモーティブを買収したが、1年ほど前にこの買収を検討するよう最初に提案したのがコリンズ氏だ。統合は当初から意図されていたもので、買収以来、正式に計画が進められてきた。

CYVNホールディングスはその取引の一環として、マクラーレン・レーシングの非支配株を取得した。

ニック・コリンズとは誰か?

コリンズ氏は業界で最も著名なエンジニアの1人である。JLRの重役を辞し、フォーセブンのCEOに就任した。JLRでの9年間のキャリアで、車両プログラム担当のエグゼクティブ・ディレクターという役職に登りつめている。

JLRでは、レンジローバーディフェンダーを含むすべての現行モデルの開発、および将来のジャガーのEVシリーズの開発において重要な役割を果たした。

JLR入社前は、20年にわたりフォードに勤務し、フィエスタSTなどの開発を監督していた。

この「新生マクラーレン」は英国ブランドと呼べるのか?

資金はアブダビから提供されているが、その他の業務や主要開発拠点は英国にある。その点では、新生マクラーレンはドイツ資本のベントレーロールス・ロイスと何ら変わりはない。あるいは、以前のバーレーン資本のマクラーレンとも変わらない。

マクラーレンがこのプロジェクトに参入する前から、フォーセブンは「英国の高級ブランド」を想定したモデルを開発していた。

「わたし達は英国ブランドを作りたかった。自動車大国としての英国が優れている点と、ビジネスで勝負すべき分野について、わたしは明確な見通しを持っていました」とコリンズ氏は語る。

マクラーレンの今後の拠点は?

フォーセブンは、英国オックスフォードシャー州ビスターに間もなくオープンする新しいデザインセンターを含め、3つの施設を所有している。また、近隣のJLRから多くの人材を集め、レミントン・スパにもオフィスを構えている。

ウォーキングにあるマクラーレンの全施設と、ヨークシャーにある複合材料工場は維持され、両社は別々に運営されるのではなく、統合されることになる。コリンズ氏は、イングランド中部のミッドランズとロンドン/南東部の間の中心的なハブ拠点として、ビスターの立地を気に入っているという。これにより、幅広い人材を集めることができるそうだ。

さらに、ギルフォード近郊のシャルフォードには、現在ゴードン・マレー・テクノロジーズの事業所がある。

コリンズ氏は、新会社では「おそらく、時間をかけて当社の事業規模を合理化するでしょう」と述べたが、当面はすべての施設が維持される予定である。

マクラーレンの製造拠点については、中国を候補から除外した他にはまだ明らかにしていない。

マクラーレンの年間製造台数は?

コリンズ氏は、台数に関する質問にはコメントを避けたが、「個人的には、台数で自動車会社を評価することには賛成できません」と述べた。

「わたしはむしろ価値について考えたい。そして、このブランドとこのクルマのラインナップでどこに価値を生み出せるかを考えたい。台数はその後に自然とついてくるもので、わたしは特定の目標を押し付けるつもりはありません。高級品の世界では、実際に販売した数ではなく、作り出す価値や消費者に提供する体験について語りたいものです」

マクラーレン自体は昨年、2000台強のスーパーカーを販売した。フェラーリランボルギーニはモデルラインの拡大により1万台以上に伸ばしているが、新型車の価格設定やポジショニングを考えると、マクラーレンも長期的にはこの大台を達成できるようになるかもしれない。アストン マーティンは年間7000台の販売台数を目標としているが、これを中期的に上回る可能性もある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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