マクラーレン、新興企業と「衝撃」経営統合 スーパーカー以外にも車種拡大へ CEO独占インタビュー

公開 : 2025.04.08 19:45

経営統合のギモン Q&A(2)

現在のフォーセブンはどうなるか?

かなり早い段階でフォーセブンの名は消え、マクラーレンとして知られることになるだろう。フォーセブンは企業名であるが、これまでは裏方として活動しており、業界関係者以外にはほとんど知られておらず、一般の人々の認知度はほぼゼロに近い。

コリンズ氏は、市場参入にあたり、フォーセブンが直面する最大のリスクは新しいブランドを創り上げることであるとし、マクラーレンとの提携は「わたし達がこれまで行ってきたことを応用し、大きな可能性を秘めたものを構築する素晴らしい機会」であると述べた。

既存のマクラーレンの各部門や経営体制はどうなるのか?

マクラーレンの製造ライン
マクラーレンの製造ライン

マクラーレン・グループにはレーシングチームを含め約3500人のスタッフがおり、CYVNグループが買収した自動車部門で働くスタッフは約2000~2500人である。

コリンズ氏は2社を完全統合し、今後は1つの企業として運営することになると約束している。同氏は「変化は常に難しい」と認め、すでに2社で「類似点と相違点を見極める」ことに多くの時間を費やしてきたという。

マクラーレン・オートモーティブの現CEOであるマイケル・ライターズ氏の今後について尋ねると、コリンズ氏は明言を避けながら、自身とライターズ氏はリーダーシップについて「非常に早く、非常にうまくやっていける」と認識しているとした。

人員削減はあるか?

最終的には新生マクラーレンで事業規模を拡大していく意向であるが、統合により人員削減が行われるかどうかについては、「現時点ではまだ何とも言えない」とコリンズ氏は述べた。

「わたしが(マクラーレンの)全員に伝えたのは、短期的な業績を向上させなければならないということです。それは明白です。率直に言って、フォーセブンでは効率性や、達成すべき目標のためにリソースをどのように割り当てるかについても改善できます」

同氏は「1+1が2以上になる」という表現を何度か使い、フォーセブンとマクラーレンの統合のメリットを強調した。

ロータスの事業拡大とどう違う?

一見したところでは、スポーツカーメーカーが買収され、その後に新しいタイプの車両の製造を開始するという点で、ロータスの事例と似ているように思える。しかし、フォーセブンとマクラーレンが1つの国で1つの企業として統合されるのに対し、ロータスは英国のスポーツカー部門と中国の大型EV部門という、事実上2つの企業として運営されている。ロータスの両部門の間には、ほとんど共通点がない。

フォーセブンには他に誰が関わっているのか?

フォーセブンのチームは700人以上のスタッフで構成され(外部パートナーを含めるとそれ以上)、その多くは他の自動車メーカーから採用されている。2024年の初めには250人ほどだったが、以来増加した。

デザイン部門を率いるのは、JLR出身でコリンズ氏の元同僚でもあるアリスター・ウェラン氏だ。

700人のチームの約半数は研究開発部門に携わっている。

フォーセブンは、ヘッドハンティング会社や人材紹介会社、さらにはプロフェッショナル向けネットワーキングサイトLinkedInなどを活用して、自社のスタッフを確保している。

その他の著名なチームメンバーには、ロータスの元幹部であるマイク・ジョンストン氏とコナー・ホーン氏がおり、それぞれフォーセブンで商業ディレクターと商業準備ディレクターを務めている。

興味深いことに、マクラーレンの元CEOであるマイク・フルーウィット氏は過去1年間フォーセブンとゴードン・マーレー・テクノロジーズで働いていたが、LinkedInのプロフィールによると、2月にその職を辞しているようだ。

F1チームとのつながりは?

おそらく、今以上につながりが強化されるだろう。CYVNホールディングスの契約には、F1チームで現チャンピオンのマクラーレン・レーシングの非支配株が含まれている。

「レーシングチームは現在、素晴らしい活躍を見せており、ブランドに対する世界的な認知度は非常に高い。自動車部門の認知度もレーシングチームと同じ規模と価値にまで引き上げたいのですが、それは単に販売台数を伸ばすことではありません」とコリンズ氏は言う。

同氏は、レーシングチームがインディカーやフォーミュラEなど、他のカテゴリーに進出していることを引き合いに出し、ロードカー部門も同じように、スーパーカーから他の車種へと参入すべきだと指摘した。

「顧客はさまざまなカテゴリーに入りたいと考えています。なぜガレージに(マクラーレンの)W1を置いて、普段使いの別のクルマを置けないのか? 当社は人々にブランドと体験に愛着を持ってもらいたいのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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