イタリアン・デザインで魅了 マセラティ・グレカーレ・フォルゴーレへ試乗 望まれる閃光

公開 : 2025.04.21 19:05

シャシーが許容する以上のエネルギッシュさ

279psの駆動用モーターを2基積んだフォルゴーレが、グレカーレでは最強となる。公道で加速させてみると、V6エンジンのトロフェオ以上に速いわけではないものの、充分に鋭く、0-100km/h加速4.1秒に疑いはない。

パワーデリバリーは漸進的だが、直線区間でもシャシーが許容する以上のエネルギッシュさといえる。低速域から一気にアクセルペダルを蹴飛ばすと、フロントノーズが僅かに持ち上がり、ブリヂストンのタイヤが悶える。

マセラティ・グレカーレ・フォルゴーレ(英国仕様)
マセラティ・グレカーレ・フォルゴーレ(英国仕様)

マセラティにはサウンドが必要だ、という考えのもと、フォルゴーレには合成音が実装されている。とはいえ、フェイクのエンジン音ではなく、電気自動車らしいテクノな響き。

運転の仕方で、音質と音量が変化する。控え目なサウンドで、高速域ではロードノイズなどへ自然に馴染んでいた。

ステアリングホイールの裏側には、大きな金属製のパドルが備わる。回生ブレーキの調整用で、惰性走行状態から相当に強い効きまで数段階から選べ、強さを問わず速度管理しやすい。

ただし、ワンペダルドライブには対応せず、停止するにはブレーキペダルを踏む必要がある。そのペダルの感触は好ましく、制動力も予測しやすい。

もう少し調整したいエアサス 軽快で漸進的な操舵感

フォルゴーレには、アダプティブ・エアサスペンションが標準装備。ただし、標準の20インチ・アルミホイールを履いていても、細かな振動は完全には吸収しきれない。波長の長いうねりでは、姿勢制御の締まりが不足気味。もう少しの調整が必要だろう。

スポーツ・モードやコルサ・モードを選ぶと、サスペンションは引き締まるが、振動が収まるわけではない。スプリングはソフトすぎ、ダンパーはハードすぎるのかもしれない。もっとも、容姿や加速力、実用性へ惹かれた気持ちを冷めさせる程ではないが。

マセラティ・グレカーレ・フォルゴーレ(英国仕様)
マセラティ・グレカーレ・フォルゴーレ(英国仕様)

軽快で漸進的なステアリングはマセラティらしいが、フィードバックは薄い。負荷が増大しても軽いままで、設置感は掴みにくい。トルクステアが小さくなく、カーブではステアリングホイールをしっかり握っている必要もある。

少し速めのペースを保っている限り、不安を感じることはない。とはいえ、強力な加速力を考えると、それ以上の速度域でドライバーが得られる自信は、更に高めても良い。

重心は低いはずだが余り感じにくく、マカン・エレクトリックの方が、運転が楽しいことは否めないだろう。前後の駆動用モーターによる、トルク分配は積極的なものでもない。稀に、前輪駆動のように感じられる場面もあった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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