マセラティ、電動スーパーカー『MC20フォルゴーレ』 需要が見込めず発売キャンセル

公開 : 2025.03.13 06:45  更新 : 2025.03.13 16:50

マセラティは新型の電動スーパーカーとして開発していた『MC20フォルゴーレ』について、需要不足により開発中止となったことを認めました。背景には親会社ステランティスの影響もあるようです。

MC20の電動化を撤回 揺らぐ製品計画

マセラティは、次世代の電動スーパーカーとして開発していた『MC20フォルゴーレ』を正式にキャンセルしたことを認めた。

このニュースを認めたマセラティの広報担当者によると、電動スーパーカーに対する需要が十分でなかったことが決定要因であるという。

マセラティはスーパースポーツカー『MC20』の電動化を計画していたが、開発中止となった。
マセラティはスーパースポーツカー『MC20』の電動化を計画していたが、開発中止となった。

MC20フォルゴーレは当初、マセラティが来年までに発売を予定していた6台のEVのうちの1台で、強大な出力と、V6ツインターボエンジン搭載を搭載する通常版の『MC20』と同様のキャラクターを持つとされていた。

最近、マセラティのオーナーであるステランティスが、同ブランドへの約15億ユーロ(約2400億円)の投資を中止したというニュースが流れたばかりだ。

マセラティの昨年の販売台数は1万1300台と、前年の半分以下に落ち込んだ。2023年には1億4100万ユーロ(約230億円)の利益を計上してたにもかかわらず、昨年度は2億6000万ユーロ(約420億円)の損失を出した。

ステランティスの最高財務責任者であるダグ・オスターマン氏は、「マセラティのビジネス、特に中国市場における動向と、高級車市場の電動化への移行の速さを認識しなければならない」とコメントを残した。

MC20フォルゴーレの代わりに、マセラティは既存のMC20に全面的なアップデートを施す予定としている。新型『GT2ストラダーレ』のノウハウを投入する可能性が高い。

GT2ストラダーレでは最高出力を10ps高め、640psとしたほか、60kgの軽量化とサーキットにフォーカスしたシャシーセットアップが施されている。

この動きは、マセラティが4年前にステランティスの傘下に入った際に策定した計画の再考を示唆しており、2030年までにエンジン搭載車を段階的に廃止する方針が見直される可能性も出てきた。

また、2027年発売予定とされる新型レヴァンテや、2028年に発売予定だった新型クアトロポルテの将来にも疑問が浮かんでいる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_
  • 編集

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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