イタリアン・デザインで魅了 マセラティ・グレカーレ・フォルゴーレへ試乗 望まれる閃光

公開 : 2025.04.21 19:05

グレカーレに稲妻を意味するEV版のフォルゴーレ登場 あえて選びたいと思わせる再生ナイロンの内装 シャシーが許容する以上のエネルギッシュさ 軽快で漸進的な操舵感 UK編集部が評価

稲妻を意味するフォルゴーレ 姿はエンジン版と同等

電気自動車は、一般的にクルマ好きへ響きにくい。そこで、マセラティが選んだサブブランド名が「フォルゴーレ」。イタリア語で稲妻を意味する。

V型6気筒と直列4気筒エンジンでスタートした大型SUV、グレカーレにも、電気モーターが載ったフォルゴーレが登場した。グラントゥーリズモ・フォルゴーレ以上の販売が見込まれる、ブランドの電動化を牽引する旗振り役となる。

マセラティ・グレカーレ・フォルゴーレ(英国仕様)
マセラティ・グレカーレ・フォルゴーレ(英国仕様)

ライバルは、メルセデス・ベンツEQE SUVにアウディQ6 e-トロン、ポルシェ・マカン・エレクトリックなど。挑むべき相手は、強豪揃いだ。

フォルゴーレを名乗っても、見た目は従来のグレカーレとほぼ同じ。楕円形のフロントグリルも、後方がキックアップしたサイドウインドウも変わらない。ただし、フロントフェンダー後方の3連ダクトは塞がれ、イルミネーションになっている。

観察すればマフラーがなく、バンパーの形状が僅かに異なることがわかる。トライデントがモチーフの、21インチ・ホイールも専用デザイン。やや低められた、車高のスタンスが好ましい。

プラットフォームは、アルファ・ロメオ・ステルヴィオも採用する、ジョルジオの大改良版。97kWhの大容量バッテリーがフロア部分へ敷かれ、前後に駆動用モーターが組まれ、最高出力は558psに達する。

航続距離は500km。電費は4.1km/kWhで、高効率なわけではない。75kWhの駆動用バッテリーを積む、テスラモデルYと走れる距離は同等。2480kgと、軽くない車重が影響しているはず。

あえて選びたいと思わせる再生ナイロン

ラグジュアリーなインテリアは、エンジン版のグレカーレと共通。ダッシュボード上にモニターが3面配置され、落ち着いたデザインに、上質なマテリアルが展開されている。一部に、安っぽい部品も点在するが。

フォルゴーレの場合は、環境に配慮された人工皮革や再生ナイロンも選択できる。この肌触りは素晴らしく、見た目も上質で、あえて選びたいと思わせる。

マセラティ・グレカーレ・フォルゴーレ(英国仕様)
マセラティ・グレカーレ・フォルゴーレ(英国仕様)

フラットなフロアは僅かに持ち上げられているが、比べない限り気付かない程度。後席側の着座姿勢も自然だ。荷室容量は535Lと、充分な広さを誇る。しかし、荷室の床下収納は利用できない。フロントのボンネット下にも、収納はない。

ドライブモードの選択は、綺麗に仕立てられたステアリングホイール上のロータリーコントローラーで。上品なタッチが好ましい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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