毎日の道具のようなクルマ? BMW M5 ツーリング Mを象徴する車内 車重を感じない加速

公開 : 2025.05.08 19:05

広大な土地に広がる滑らかな路面が望ましい

ただし、英国や日本では、ルートを選んだ方が良いかもしれない。前20インチ、後ろ21インチのホイールを巻くタイヤの扁平率は低く、乗り心地は正直褒めにくい。

路面の管理状態で、ステーションワゴン選びが左右されることは、納得し難いかもしれない。しかし、それが現実だ。M5 サルーンと同様に、ツギハギの多いアスファルトでは落ち着かない。時々、顔をしかめたくなるほど。狭い道での取り回しも良くはない。

BMW M5 ツーリング(英国仕様)
BMW M5 ツーリング(英国仕様)

広大な土地に広がる滑らかな路面が、M5 ツーリングには向いている。しなやかな乗り心地とはいえないものの、基本的に速度域を問わず安定している。

今回の試乗では、満充電の駆動用バッテリーで、エンジンを回さず56km走ることができた。また表示上は充電が切れていても、駆動用モーターは多少アシストを加えることが可能。その条件での燃費は、9.0km/Lだった。

素晴らしい操縦性 驚くほど安楽・高速

条件次第では、唸るほど有能なM5 ツーリング。理想的な環境でなくても、シートの座り心地は素晴らしく、圧巻の動力性能は間違いない。大きさと重さを、忘れることはできないとしても。

望ましい道路条件で飛ばしている最中に、心から運転を楽しめているかと聞かれると、答えには悩むかもしれない。それでも操縦性は素晴らしく、驚くほど安楽・高速に、目的地へ短時間に到着できる。M5の本分は、見事に達成されている。

BMW M5 ツーリング(英国仕様)
BMW M5 ツーリング(英国仕様)

◯:素早く四輪駆動から後輪駆動へ切り替えられる トルクフルな電気モーター 鋭い加速力
△:環境によってはボディが大きすぎる 車重を常に感じさせる 従来のM5より成長し興奮は鎮められた(これにはプラスの面もあるが)

BMW M5 ツーリング(英国仕様)のスペック

英国価格:11万3405ポンド(約2211万円)
全長:5096mm
全幅:1970mm
全高:1516mm
最高速度:249km/h(304km/h/Mドライバーズパッケージ時)
0-100km/h加速:3.6秒
燃費:50.0-58.8km/L
CO2排出量:46-39g/km
車両重量:2550kg
パワートレイン:V型8気筒4395cc ツインターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:18.6kWh
最高出力:728ps(システム総合)
最大トルク:101.8kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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