アストン マーティン新型『DBX S』発表 727psの高性能SUV、シャシー強化と軽量化も実現

公開 : 2025.05.01 17:05

アストン マーティンは新型『DBX S』を発表し、オーダー受付を開始しました。DBXの高性能バージョンで、4.0L V8ツインターボで727psを発生。フェラーリ・プロサングエを上回るパワーを実現しました。

最強クラスの純内燃機関SUV

アストン マーティンは、DBXの新たな高性能モデルとして『DBX S』を発表した。軽量化とパワートレインの強化により、内燃機関搭載車としてはトップクラスにパワフルなSUVとなった。

同社は2004年のヴァンキッシュSを皮切りに、複数の高性能モデルに「S」バッジを使用してきたが、SUVに適用するのは今回が初めてだ。

アストン マーティンDBX S
アストン マーティンDBX S    アストン マーティン

アストン マーティンのCEOであるエイドリアン・ホールマーク氏は、新型DBX Sには「強力な意思表明」であり、今後も軽量で高出力なバリエーションを重視し続ける姿勢を示していると述べた。

DBX Sは、既存のDBX 707よりも上位のモデルとなる。4.0LのV8ツインターボエンジンはそのままに、スーパーカーのヴァルハラから大型コンプレッサーホイールを移植して再設計されている。また、回転数の上限域でさらなる「加速」を得られるようチューニングが施されている。

これにより、0-100km/h加速は3.3秒と変わらないが、0-200km/h加速は0.3秒短縮されたという。

一方、新しい排気システムが採用され、V8エンジンの音がより大きくなった。ステアリングレシオは4%クイックに設定され、最小回転半径は6.0mに縮小された。

最高出力は727psで、自然吸気6.5L V12エンジンを搭載するライバルであるフェラーリプロサングエよりも2ps強力だが、ポルシェカイエン・ターボEハイブリッド(740ps)やランボルギーニウルスSE(800ps)などの電動パワートレイン搭載車には及ばない。

DBX 707と同じ可変四輪駆動システムと9速湿式クラッチATを継承しているが、トランスミッションのシフトポイントを見直し、広い回転域に対応させたほか、『スポーツ』および『スポーツ+』モードでのダウンシフトをよりアグレッシブに設定したという。

最大47kgの軽量化を実現

車両重量は、2245kgのDBS 707から最大47kg削減された。ルーフレールを省略したほか、オプションの新しいカーボンファイバー製ルーフを装着することで18kgの軽量化と低重心化を実現するなど、さまざまな措置が講じられている。

さらに、標準のアルミニウム製ホイールより19kg軽い23インチのマグネシウムホイールと、ポリカーボネート製ハニカムグリルもオプションで用意される。

アストン マーティンDBX S
アストン マーティンDBX S    アストン マーティン

エクステリアとしても、ブラックグリルデザイン、新しいスプリッターとディフューザー、ボディサイドの空気の流れを改善するサイドシルなど、数多くのスタイリングの変更が施されている。

リアには、4本のエグゾースト(左右2本ずつ)が縦に積み重ねられ、リアバンパーも刷新されている。

インテリアでは、シートにヘリンボーンパターンを施したSモデル専用デザインが採用され、カーボンファイバー製ルーフを選択した場合、ヘッドライニングにもこの模様が反映される。アルカンターラ張りが標準で、セミアニリンレザーとレッドのシートベルトはオプションで選択可能だ。

14スピーカーのオーディオシステムが標準装備され、オプションとして23スピーカーのBowers & Wilkinsシステムも用意される。

DBX Sは現在注文受付中で、納車は2025年第4四半期に開始予定だ。価格は未発表だが、20万5000ポンド(約3900万円)のDBX 707よりもワンランク上の価格設定となる見込みだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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