古き良き魅力と迫力 アストン マーティン V8ヴァンテージ UK中古車ガイド 現実味を増した4代目

公開 : 2025.04.22 19:05

古き良き英製スポーツの魅力と、圧倒的な動力性能を融合させたV8ヴァンテージ スーパースポーツの割に乗り心地も良好 公道での上質さとサーキットの速さの二面性 UK編集部が魅力を振り返る

英製スポーツの魅力と圧倒的な動力性能を融合

ハイエンドなスポーツクーペが欲しい。でも、ポルシェ911は少し定番すぎる。そうお感じなら、少し前のブリティッシュはいかがだろう。「これほど笑顔になれるスーパースポーツは、他に思い浮かびません」。当時のAUTOCARは、仕上がりを絶賛した。

2018年に登場した4代目アストン マーティン V8ヴァンテージは、古き良き英製スポーツの魅力と、圧倒的な動力性能を融合。当時の同クラスで、最良の選択肢といえた。

アストン マーティン V8ヴァンテージ(4代目前期/2018〜2024年/英国仕様)
アストン マーティン V8ヴァンテージ(4代目前期/2018〜2024年/英国仕様)

新車でお考えなら、値落ちを憂慮されるかもしれない。だが中古車なら、好ましい条件になる。英国市場を調べれば、6万5000ポンド(約1268万円)で状態の悪くない1台が見つかる。多くの読者にとって、身近な価格帯ではないとしても。

フロントに載るのは、メルセデスAMG由来のツインターボV8エンジン。アストン マーティンによるチューニングを経て、510psと69.6kg-mを発揮し、ブランドらしい個性も得ている。0-100km/h加速は、3.7秒で処理する。

同時期のマクラーレン540やアウディR8と乗り比べれば、驚異的な速さに唸るはず。低速域でゆったり流している時でも、エンジンが放つ迫力は他に例がないほど。そのドラマチックさに、強く惹き込まれるはず。

普段使いが難しいわけではない。丁寧に運転すれば、サウンドも控え目で、高速道路での燃費は9.0km/Lに届く。エコとはいえないまでも、頻繁にサービスエリアへ立ち寄る必要はない。

スーパースポーツの割に乗り心地も良好

V8ヴァンテージは8速ATが主流だったが、1速が横に飛び出たドッグレッグパターンの7速MTも指定できた。流通量は多くなく、執筆時の英国で売られていたのは2台のみ。価格もお高めだ。

アダプティブダンパーが標準で、スーパースポーツの割に乗り心地は良好。長距離を一気に駆け抜ける、上質なグランドツアラーとしての能力も高い。

アストン マーティン V8ヴァンテージ(4代目前期/2018〜2024年/英国仕様)
アストン マーティン V8ヴァンテージ(4代目前期/2018〜2024年/英国仕様)

ステアリングはダイレクトで、姿勢制御は引き締まり、ワインディングでの身のこなしも秀抜。コーナリングは鋭く、トラック(サーキット)・モードも備わり、コース上では遺憾なくその能力を発揮できる。この二面性も大きな魅力だ。

2021年には、アストン マーティンのF1復帰を記念した、F1エディションが追加されている。ハードな足回りに535psの最高出力、専用設定のトランスミッションとエアロキットで、サーキットとの親和性を一層高めている。

インテリアも強みの1つ。素材は上質で、実際に押せるハードスイッチは当時らしくふんだんにあり、小物入れも充実。低い運転姿勢もやる気を誘う。

ダッシュボード中央には、ロータリーダイヤル付きの8.0インチ・モニター。スマートフォンとのミラーリングには対応しないが、専門ショップへ持ち込めば、最新のタッチモニター・システムへアップグレードできる。

当時の市販車で、最も楽しい運転体験を叶えていたV8ヴァンテージ。今では、ずっと現実的な予算で狙うことができる。少し古い装備など、きっと目をつぶれるはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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