キャデラック風味のリムジン ベントレー・スピードシックス(1) 一線画す6.6L直6エンジン

公開 : 2025.08.02 17:45

ライバルと一線を画した高度な直6エンジン

サスペンションは、前にベントレー&ドレイパー社製のフリクション式ダンパーを装備。リアには油圧式ダンパーが組まれた。また、前のクロスメンバーは高張力ボルトで固定され、欧州より過酷だった北米大陸の環境へ備えられた。

ブレーキは、前後とも直径400mmのドラム。サーボモーターを備え、当時としては強い制動力を生むことができた。ペダル配置は、右側がアクセルで中央がブレーキと、現在と同様。エンジンの熱を遮断するため、足元の隙間にはフェルトが挟まった。

ベントレー・スピードシックス・チャールズ・シュッテ(1930年/北米仕様)
ベントレー・スピードシックス・チャールズ・シュッテ(1930年/北米仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ステアリングラックは、ボール&ナット式。軽量なエレクトロン・マグネシウム合金で、ボックスは鋳造されている。トランスミッションは、ベントレーCタイプと呼ばれた4速マニュアル。このケースも、同様に合金で鋳造された。

そして、特にライバルと一線を画したのが、6597ccの直列6気筒エンジン。シリンダー毎に、2本の点火プラグと4枚のバルブを配置し、先進的なシングル・オーバーヘッド・バルブ(SOHC)のヘッドも載った。今でも、前時代的な技術とはいえないだろう。

目立ったに違いないダーク・レッド

シャシー番号HM2854は当時唯一、ベントレーの輸出を請け負っていたルーツ社によって、コーチビルダーのチャールズ・シュッテ・ボディ・カンパニー社へ輸送。そのペンシルベニア州のワークショップには、4ドア・リムジンボディの注文が入っていた。

ボディの塗装色はダーク・レッドで、ブラックのフェンダーにレザートップのルーフでコーディネートされた。初代オーナー、ルースの一族が所有していたロールス・ロイスへ、合わせたものだったらしい。

ベントレー・スピードシックス・チャールズ・シュッテ(1930年/北米仕様)
ベントレー・スピードシックス・チャールズ・シュッテ(1930年/北米仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

内装は、ウィップコードと呼ばれる厚手のクロスで仕立てられた。スライド式のパーティションと、非常席も設けられた。高級車が少なくなかったニューヨークでも、相当目立ったに違いない。

この続きは、ベントレー・スピードシックス(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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