【中国市場で苦戦中】東風ホンダS7は走りが楽しいBEV!クルマは良くても中国人の好みには合わず?

公開 : 2025.07.24 11:05

良いクルマでも販売は不振

クルマを運転する上での楽しさを重視する筆者にとってS7はとても良かったのだが、残念ながら中国の消費者には受け入れられていない。

広汽ホンダP7の月間販売台数は発売以来500台を超えたことがなく、2025年5月、6月はそれぞれ142台、166台という状況だ。今回試乗したS7はさらに不調で、2025年4月以降の販売台数は毎月50~60台となる。

日本円で約420~520万円という価格も、販売が伸びない要因となっている。
日本円で約420~520万円という価格も、販売が伸びない要因となっている。    加藤ヒロト

理由は単純で、中国の消費者が求めていないBEVを誰も購入しないような価格で販売しているからだ。確かに運転の楽しさは素晴らしいが、クルマを初めて購入する層が多い今の中国ではそういったわかりにくい領域よりも、『画面の大きさ』、『0-100km/h加速の数値』、『冷温庫の数』など、理解しやすいカタログスペックが重視される。

各社がタッチ操作を採用して先進性をアピールするのもそれが理由だ。そして日本円で約420~520万円という価格も、ほぼ同じ値段でよりサイズが大きく、高度な運転支援機能や車内エンタメ機能にも優れる、『テスラモデルY』、『オンヴォL60』、『理想L6』が購入できてしまうので高く感じてしまう。

そう考えると、値引きも全くないというP7/S7を購入するのは、『よほどのホンダ好き』ということになるだろう。ディーラーで実際に『e:N』と『イエ』の立ち位置の違いを聞いても上手く説明できないなど、ブランディングも不明瞭だ。

中国事業が不振な中、ホンダから起死回生を狙う『本命の中国専売EV』が投入されることを願いたい。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    加藤ヒロト

    Hiroto Kato

    山口県下関市生まれ、横浜在住。慶應義塾大学環境情報学部に在学するかたわら、各自動車メディアにて「中国車研究家」として中国の自動車事情について「クルマ好き」の視点で多様な記事を執筆する。また、自費出版で中国モーターショーのレポート本「中国自動車ガイドブック」シリーズも手掛けている。愛車は1998年型トヨタ カレンと1985年型トヨタ カリーナED。

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