エッジーな響きはフェラーリ風? ランボルギーニ・テメラリオ(2) 驚異的な回転数と新次元の操縦性

公開 : 2025.07.23 19:10

1万rpmを誇るV8エンジンと3モーターを得たテメラリオ 総合920ps デジタル技術に事欠かない車内 エッジの効いた響きはフェラーリ風 驚異的な回転数と新次元の操縦性 UK編集部が試乗

エッジの効いた響きはフェラーリ

ツインターボの4.0L V8エンジンにトリプルモーターで、総合920psを得たランボルギーニテメラリオ。初試乗は、ポルトガルのエストリル・サーキットに限られた。ヘルメットを被り、攻め込むことも許されたが、公道での印象は確認できていない。

日常との親和性の高さは、ハイパワー・スーパーカーとして重要なポイントといえる。試乗車は、完成間際のプロトタイプでもあった。2025年の後半には、量産仕様がグレートブリテン島に来る予定。その日が楽しみだ。

ランボルギーニ・テメラリオ(欧州仕様)
ランボルギーニ・テメラリオ(欧州仕様)

ヘルメットは防音性が高く、走行中のサウンドを充分に鑑賞できたわけではない。だが、少し前のフェラーリが放った、エッジの効いた響きへ近いように思えた。あちらも、フラットプレーンクランクを組んだV8エンジンを積んでいたからだ。

ランボルギーニへ期待される、重奏的な機械音や図太い燃焼音は放たれない様子。それでも、フェラーリのV8エンジンは1万rpmまで引っ張れない。超高速で回るクランクシャフトからは、特有の響きが奏でられ、刺激に不足はないだろう。

1万rpm以下でも不満なく速い 回したい衝動

3基のモーターが叶えるトルクは太く、アクセルペダルを踏み切る必要性は、サーキットでも限定的。8速デュアルクラッチATの変速は、極めて迅速。奮い立って右足を傾ければ、5000rpmへ達する前に、胸が苦しくなるほどの加速が始まる。

正直なところ、1万rpmまで回さなくても不満なく速い。それでも、回したいという衝動に駆られる。レッドライン目がけて、その勢いは熾烈さを増していく。

ランボルギーニ・テメラリオ(欧州仕様)
ランボルギーニ・テメラリオ(欧州仕様)

ブレーキペダルの感触は頼もしく、不安感なく速度を殺せるが、ブレーキングゾーンでは車重の影響を隠さない。加速力ほど、減速力は強力ではないようだ。

コーナーでは、フロント側のトルクベクタリング機能が威力を発揮し、高い旋回速度を披露。パワーを掛けながらでも、鋭い回頭性を叶えつつ、安定性も素晴らしい。スポーツ・モードとドリフト・モード時は、ベクタリング制御が変化し、敏捷性が更に増す。

没入するスポーツ・モード 野獣感は若干乏しい?

かくして、操縦性はウラカンより直感的。車重は増えていながら、バランスも素晴らしい。最速でサーキットを周回するなら、コルサ・モードが理想的。正確なステアリングでラインを選びつつ、鋭く沸き立つトルクを調和させ、タイムを削れる。

あるいは、深く運転へ没入したいなら、スポーツ・モードが良さそうだ。更にダイナミックにテメラリオを操れ、シャシーの限界へ情感豊かに迫れる。

ランボルギーニ・テメラリオ(欧州仕様)
ランボルギーニ・テメラリオ(欧州仕様)

ドリフト・モードでは、ドリフトアングルを選ぶことが可能。ノブに3段階のポジションがあり、20度から40度でテールを振り出すことができる。フロントアクスルが巧みに進行方向を維持しつつ、不気味なほど絶妙で自然にスライドし続けられる。

ただし、ステアリングホイールへ伝わる情報量は限定的。ブランドらしい、野獣感も若干乏しいかもしれない。ハイブリッドのV8エンジンと軽くない車重は、一般道でどんな喜びを導くのだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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